「This is love comedy.21」ユノ×キュヒョン
「なんで今日は来ないんですか?」
なんでって、もう俺とは祝ったんだから、今日は本当に会いたい奴と会わせてやりたいだろうって言ったらチャンミンは黙るだろうから、
「俺は昨日祝ったから」とだけ言ったら、チャンミンは責めるようにこちらを見て黙った。どうやら、これも間違えだったらしい。
最近俺は、まず言う事を間違えてばかりだな。
まあ今晩は久しぶりに、一人で誰かの誕生日祝いにビールでも飲んでみることにするか。
「ってなのに、何で俺はここにいるんだ?」
「奇遇ですね。俺も同じ事思ってました」
隣のミンホを見る。
「いや、だって仕方ないだろ?俺飲んじゃったからさ」
「俺はさっき仕事が終わって、明日早朝からロケです」
腕時計を見る。只今の時刻は二十三時四十五分だった。
「何でお前がこの中にいないんだろうって思ってたよ」
「また奇遇ですね。俺も同じ事思ってました」
二人で黙り込む。
この中では二時間前から「ギュライン」が開催されている。当のキュヒョンは一時間前から参加で、ほぼ主不在の誕生日パーティーはチャンミン企画だった。
「来ましたよ」
ミンホの声で、助手席を降りる。店の入り口からチャンミンに肩を抱かれたキュヒョンが俺に気付いた。
「ユノヒョン!」
どよめく出待ちのファンの間をふらふらとぬって俺に抱きつく。
チャンミンが天を仰いだのが見えた。
襟の大きな厚手のコートが同じく厚手のコートの俺を締め上げる。
「分かったから、キュヒョン、乗るぞ」
俺が顎をあげるのを確認して、ミンホが運転席から操作して後部ドアを開ける。抱きついたキュヒョンを抱えるようにして、その中に押し込んで自分も隣に乗り込む。
チャンミンが面倒くさそうに店の前で手を上げたのと同時に車は発進した。
「ユノヒョン!」
「はいはい」
一時間でどんだけ飲んだんだ、こいつ。
「何で今日は来なかったんですか?」
「いや……」
「俺はユノヒョンの恋人ですよ!」
耳元で叫ばれて、首をそらす。
まったく。そこまでお前が徹底した奴だって
……分かってたから行かなかったのに。
俺の首元に抱きついたまま頬を膨らませるキュヒョンを、バックミラーでミンホがちらりと見た。
「行き先はあそこでしたよね?」
「こいつの宿舎」
俺の返答に、カラフルな電飾のホテルから、ミンホは視線をまた正面に戻した。
キュヒョンはまだむくれている。悪かったって、と少し覗き込んで言うと、酔いでとろけそうな目のまま、俺ににこりと笑った。
「じゃあ、お店行きたいです」
「店?」
「ユノヒョンが言ってた店。本当は予約してたってチャンミンが言ってました」
「ああ」
なんだ、こいつ行きたかったのか。
それは参ったな。
「俺が出すからお前の好きな時にチャンミンやミンホと行って来たらいいよ」
「俺はいいです」
ミンホが口を挟む。
「二人がいいです!」
首に巻きついた腕に力をこめられる。全く完璧主義だなと思いながら苦笑する。
「俺の公演が終わったら、連れて行って下さい。一緒に打ち上げしたいです」
つづく