「This is love comedy.31」ユノ×キュヒョン
「多分、違いますね」
助手席の俺の後ろで、声が出された。
全員がそちらに向いたのが分かる。俺もミンホもバックミラーで、そう言ったチャンミンを見た。
「キュヒョンは、きっとそれよりも前からです」
バックミラー越しにチャンミンが俺を見た。
「正確には忘れましたけど、キュヒョンはいつ頃か、ヒョンと似たような食べ物を好きになって来たんですよ」
俺は口元に充てていた手をそのままにして、チャンミンと見つめ合った。
「同性だから恋愛感情じゃなかったかもしれないけど、あの時には、もうヒョンのことを何となく特別に見てたんじゃないかな。ユノヒョンは全く気にしてなかったから、キュヒョンの視線に気づかなかったかもしれませんけど、俺といると自然にヒョンは視界には入って来るだろうし、好みを合わせたくなるような感情があったんだろうし、それが何かは知りませんけど。だから」
車内の全員が、チャンミンの話を黙って聞いていた。
「だから、あの占い師に言われた時、三日間ユノヒョンのことを考えて、本当に恋愛感情に変わったんじゃないかな」
俺は口元の手を下ろす。赤かった顔は恐らく元に戻っている。
「……でも、あの時、あいつは」
あの時と同じミラー越しに、チャンミンは俺を見た。
「男同士だから、どうしていいか分からなかっただけでしょうね」
チャンミンが言って、俺は視線をそらして、何も言えずにいると、二台の自動車は見慣れたマンションに到着した。でも俺は動かない。
「でもさ……もし、そうだとしても」
「はいはい、とりあえず降りて降りて」
全員に肩を押されて、引きずり出されるように車から降りる。
「おいおいおい。俺の話聞けって!」
「そんな『すごい』キスしといて、もういいでしょ!」
誰かの言葉に顔を両手で隠した俺を抱えるように、運ばれる。
「いやいや待てよ!」
聞く耳持たず運ばれていく。
つづく