夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

EXOTICA:「出口」

前回EXOTICA:洞窟の外「LA SIESTA」 - 夢の続き



男が蟹を落とした人差し指を親指とこすり合わせている横で、そう思いながら時間だと手首の上で表示されている時刻を見た。
大方元通りになった靴を簡単に確認し、立ち上がって向きを変えるが、しばしその場で立ち尽くした。綻んでいた表情を消す。
10分は少し過ぎている。
遅れて立ち上がった男も気にせず、あまりの静けさに、一度大きく鼓動がし、前のめりに足を踏み出した。
だが、聞こえた。
ぽつぽつとこぼしながら続々と出て来た彼らに、安堵の溜息をつき「遅いだろ」と声をかける。
すると全員足を留め、綺麗に二組ずつになり顔を見合わせた。最年長の小柄なシウミンと最年少の背の高いセフン。メンバー1高身長のチャニョルとスケジュールの詰まったギョンス、体力のあるカイと、優しいチェン。リーダーのスホと口達者な赤毛のベッキョン。
「なんだよ」
俺が近付き立ち止まると、一斉に睨んだ目つきをした。だが次の瞬間にはまるで達観した鼻笑いをする。
そして、自分達が同じ行動をとったことに驚いたように、八人はもう一度全員の顔を見合わせる。
何なんだと思うが、しかし、その顔が思ったよりも疲弊して見え、そちらに気が回った。メイクで隠せるだろうか。
「なに?楽しかった?」
心配より一気に老けたような彼らの姿に、眉をひそめながらも思わず噴き出して笑ってしまう。たかが10分で何をそんなに疲れることがあるのか。
不思議そうに全員を見合っていたメンバーが、また先ほどの二組の相手に向き、互いに「楽しかった?」と聞いている。
入った時には、あれだけ五月蠅かった八人が、落ち着き払っている。
こちらに答えるのも忘れているのか、感慨深そうに見つめ合って、可笑しな奴らだと自分は時刻を見る。もう店に行かなければ。辺りを見回した。
「ちょっと待ってて」
少し元気を取り戻したのか、薄黒い浜辺に並び真っ青な海を眺め出した彼らの中で、分かりましたと色白なリーダーのスホが、赤毛のベッキョンに後ろから抱かれながら振り向いた。年齢の割に無邪気なそれを尻目に、一言挨拶をして行こうと、恐らくこの中にいる中年の男に足を向ける。
やはり入口に電灯は必要だろう。
奥には鮮やかな五色の照明が灯っているが、全体的には暗いことには変わりない。
「すいません」
姿が見えず、小さな洞窟が並ぶ前で声を張ったが、返事はない。どれかに入っているのだろう。
内部から光が漏れる中、足早に端から、黄、白、緑、青、赤、と一瞥し、行き止まりで立ち止まる。
どれも無人であった。そして、立ち止まったまま、視線だけそこに横向ける。変だな。
――六つある。
照明はないようだが、先ほどまであったろうか。何よりあの案内人が五つの洞窟だと公言しなかっただろうか。
暗く中は見えないが、自分の真横の六つ目には、入口付近の岩肌に落書きのような文字が見えた。


❞ EXOTICA:黒の洞窟「FINALE(フィナーレ)」❞


半袖だと寒さを感じる岩の穴蔵で、二の腕をすり、何て書いてあるのか分からないそれを見つめる。この記号、どこかで見たなと眉間を寄せるも、答えを導き出す前に、暗闇に顔を傾けた。この奥にいるとすればむしろ出て来て欲しくないが。
「あの」
だが、声をかけながら、俺は真黒な洞窟へ、少しだけ体ごと足を入れた。
二重瞼をしばたたかせた。
どういうことだ。
確かに、明かりのない闇色だったのに、今、ここは光に照らされていた。
急に電気がついたということか。それにしては、付いた瞬間を見逃している。
視線を全体に行き渡らせながら、中はこんな感じかと思うと共に、案内人の姿がないのを確認する。設置されている白い照明を眺めてから、踏み入れた足を戻した。
背をそらせた。
静寂に包まれたまま、ずらりと列をなす五つの洞窟が見るが、やはり人の気配はない。あの男は外にいたのだろう。
どこか狐にでもつままれた気分になりながら、踵を返し、ここから出ようとして、緑、黄、赤、と並ぶ洞窟を過ぎて行く。
一番奥に青の光が出ているのを視界の端に入れ、違和感で、胸を高鳴らせた。その正体が掴めないないまま、洞窟を出た。
「お疲れ様です!」
まばゆい外で、整った白い顔に満面の笑みを浮かべたスホがいた。そして、下ろしていた手を俺に挙げた。
周りからもほぼ同時に破裂音がして、ふわふわと何か分からないものが頭に落ちて来る。
螺旋状の細い糸が幾筋も目の前にすだれのようになっている。火薬の匂いと、押し殺す必要がなくなった悲鳴に近い聞きなれたそれらによった歓声。
八人の若い男共が洞窟を出た俺を囲んで、じゃれあって喜んでいる。全員で打ったクラッカーの他に、ワインボトルのようなものも持つのもいる。首に細い布を巻いたスホの手を取り、小作りな顔の赤毛のベッキョンがでたらめに歌い、優しげな愛嬌を持つチェンと、先ほど顔を見合わせていた運動神経の良い弟のカイが駆け回る。一番高身長なチャニョルが白っぽい髪を揺らし、今にも手のボトルはスパークリングなのか、コルクを抜こうと親指を添えている横で、耳を指でふさぐギョンスがジャケットを着た身を屈ませ笑っている。銀の三角型の髪の帽子をかぶった小柄のシウミンを、背の高い細身のセフンが笑いながら、後ろから持ち上げようとしている。
俺は目を見開き、あれだけ疲れた顔をしていた全員が「お疲れ様」と言い合いながら、まるでパーティーでもしている様子なのに、声も出せず立ち尽くす。
そして、拡がっている。目も眩むほどの、白。
真っ白な砂浜に息を呑んで、視線を横に走らせる。
卵の黄身でもつめたようなオレンジ色が、地平線まで伸び、予想以上に傾いたのかと思っていた蛍光に近い黄色の空と並行している。
目を開けながらも、眩暈がし、自分が消えてなくなるような感覚に陥った。
白い崖が向こうにも見え、青に近い太陽が光り、人間達以外は、自分の視覚が変になったとしか考えられない色をする。色覚異常を起こしているなら、むしろ良いのに、八人の人間は変わらない。
可笑しいのは、目じゃない。
冷たい汗を滲ませ、浅い呼吸を繰り返す俺に、「お疲れ様でした」とかけられ、隣を向いた。
嘘みたいな蛍光イエローのスカートスーツを身につけた若い女がいた。
俺は訝しんだ視線をなげかけながら、「何がお疲れ様なんですか?」と呟く。
正確に茶髪に染め上げた長い髪を後ろでひとまとめにし、白く堀の深い、鼻筋が通った綺麗な女が、俺に微笑みかけた。
光沢つきで塗られた艶やかなピンクの唇に一瞬目を奪われた。
「撮影が終わったって、EXOの方々が仰ってたので」
鈴を転がしたみたいな声だった。
「終わってませんよ」
俺は異常さに、早くなる鼓動と共に、今にもその場に倒れ込みそうだった。そして、「あなた誰ですか」とかぶりをふる。
「さっきも一緒にいたのに。酷いですよ」
怪訝に笑う女の大きな胸元を見ながら、見開いた眼差しをそのままに、この、洞窟の係員から顔を背けた。
チャニョルが黄色い空に打ったコルクを、全員が見ている。後を追って噴き出した紺碧の液体は、きっとここのスパークリングワインか、シャンパンだ。右には寄せても彼らに届かない橙の海洋。
反転している。
この世界は人間以外が、反対色だ。
ゆっくり片手で口を覆って、呆然と目の前を見るしかなかった。
気が付けば彼らの服装も全員色が違う。編み込んだ髪型は同じだが、深緑のポロシャツを着たカイ、緑の半袖シャツのベッキョン、赤地の柄シャツのチャニョル……
何が起きているのだろう。どこで俺は夢を見出したのか。
まるで映像編集でいじったみたいだ。
「すいません」
そちらに向いた。
困った顔で形の良い唇の端をほんのり上げる。
「良かったら、連絡先教えてもらえませんか」
瞬いて、美女の揃った前髪に目をやりながら、慌てて、ジーンズに突っ込んでいた携帯電話を取り出した。
誰かに連絡をと考え、今日二回目となった通信不能になっているマークを見届ける。
それに、誰に連絡するのだ。
首を傾げ自分を見ている彼女を見つめて、しかし、「その携帯かしてくれます?」と言った。
彼女は、不思議そうに取り出していた携帯電話を見せる。
画面以外はプラスチックみたいだったが、同型で、通信できる状態だ。
「ちょっと電話させてもらえませんか」
「良いですよ」
言われるまま受け取り、自分の方に表示した番号を入力する。とりあえず仕事は放置できない。
今回の撮影のディレクターは数回のコールで出た。
そして、第一声に「お疲れ様ー」と元気な言い方をされ、撮影終了を後押しすることを、色々と告げられる。
すぐに通話を終了させ、礼を言って彼女に返した。困惑顔をさせているのは悪いが、夢ならいくらでも連絡先など教えるし、すぐにでも二人きりになれる場所へ誘うが、この現実感ではそんな気分にならない。
異常な色彩と状況に目が回り、卒倒しかけている。落ち着けと言い聞かせながら、自分の携帯電話もポケットに戻そうとして、こつとそれが何かにあたった。
手で探り、中の物を取り出す。
分かってはいたが、こんなもの放棄しても良いくらいの、ーー小瓶。
硝子瓶から見えるおざなりに折り畳んだ紙の文字に、目をすがめる。
混乱しながらも俺は、それをまた開封し、紙を開いてみる。
やはりそうだ。
読める。
さっきまでは、荒唐無稽な記号に近い見たこともない文字だったものが、全部自分の母国語になっている。
更に血の気を引かせたが、
「どういうことだ」
呟いたのは、書かれている内容にだった。
まるで自分達の世界が、誰かに作られたようなそれだった。こんなものは冗談だろうが、「異世界」と言う単語には、背筋に冷たいものが走る。可笑しいくらい状況が酷似している。
書かれたことが真実であるなら、三日間自分はここにいることになる。実際が10分だとしても、五分でも戻って来なければ、洞窟内に誰もいないのが確認され、警察でも呼ばれ、メンバーを引き連れ軽率な行動を取ったことは問題になるだろう。
職を失うことよりも、長い時間を共有し、真面目で時には友人のように慕ってくれた彼らと一緒に仕事が出来なくなるのが、痛手だった。
これを荒唐無稽とは、常軌を逸した光景に言えなかった。
方法。戻る方法とやらを実行しなければ。しかしーー。
「どうぞ」
スケジュール的に一番疲労していたギョンスが、にこにこと波型のふっくらした唇で笑って、ワイングラスを持って来た。
「こっちでー」
天国を思わせる白い砂浜に、円になり座っていつ持って来たのか、美味そうな出前の料理を拡げ、グラス片手に、心底疲れがとれたような笑顔で彼らが手を振っている。
料理の間に置かれた、見たこともない色をしたポータブルの再生機でかけた音楽に合わせて身体を揺らしている。
どこからか聞こえてくると思ったのは、あれか。
あの曲のミュージックビデオを撮影中でだったのに。
自分の隣の係員が、また一人、やって来たチャニョルに連れられ、輪に入るため浜辺を歩いていく。
「早く」
そうグラスを俺に持たせた少しだけ背の低いギョンスを見ながら、気泡を出す紺碧色の液体を一口飲んだ。
舌を包むように細かく弾けていく。
香りの良いシャンパンだ。
それと混じる潮の匂いも、同じ。黄色い空を見上げると、真黒な海鳥達が飛んでいる。
楽し気に皆を笑わせている赤毛のベッキョンの手前で、こちらをはにかんでスタイルの良い美女が見ている。
目にくまをつくっていたシウミンも小柄な体を揺らして歌っている。他のメンバーも、楽し気に笑っている。
もし、戻る方法とやらを見つけなければ。恐らく性格も変わらないこの彼らと、仕事をすることになるのだろう。もしかすると自分には恋人まで付いてきて。
ここに両親はいるだろうか。こちらの俺が向こうに行っていると言う概念だろうか。
あんなに綺麗で胸も大きい脚も体型も申し分ない恋人が出来るなら、何もない一般人の自分にとってはこれまで生きて来たご褒美みたいなものだ。
忙しくて、恋愛なんて時間が取れず、帰ればまた分刻みの撮影現場が待っている。
この色の可笑しな世界は、考えようによっては本当の楽園ではないだろうか。
空の黄が蛍光色を強めた気がする。日暮れと言うことだろうか。
時間が過ぎている。
この世界に、自分が生きて来た軌跡があるのなら、残りの人生をこちら側で過ごしても同じではないだろうか。交友関係なども変わりない気がしている。むしろ仕事仲間以外付き合いがそう多くない自分に、新しい未知の友人がいるかもしれない。
携帯電話を新調して、綺麗な恋人と、変わりない八人のメンバーと、今回の撮影は終了したかもしれないが、白い浜の宴を終え、ホテルに戻り、これから新しい仕事をこなしていく。
色彩にさえ慣れれば、自分はもっと幸せな毎日を送れないだろうか。
俺は、自分と言う人間は、何を求めて毎日を過ごしてきたのだろうか。
手元の、泡の立つ蒼く濁った酒を見下ろしながら呆然とした。
「なあ、ギョンス」
俺を待って、そこにいてくれるポーカーフェイスの上手い男を見た。
はい、と白目の眩しい眼差しが向いている。
「疲れた?」
俺の問いに、奇妙そうに口元をゆるめて、こちらの真意を確かめるように視線を返した後、
「今回の撮影は、余裕があったから、いつもよりは疲れませんでしたけど」
と、答えた。
何となく、あいつらの達観した鼻笑いと重なった。
自分もそうして、腕時計を見る。電波時計は停止している。だが、体感的には二十分も経っていない。こちらでの二十分は、あちらでは一瞬だろう。
いくらここが楽園でも、自分の生きて来た軌跡が存在しても、可愛い恋人が出来たとしても、同じメンバーがいたとしても、俺の中に、記憶がないなら仕方がない。
この世界は、異世界だ。
元に戻る方法は、一つしか思い浮かばなかった。
「これ、ありがとな」
そう言って、まだ残っているグラスを渡されたギョンスが僅かに開いた口元と、いつもと変わらない目元を微かに丸くし、不思議さを表しているのを尻目に、振り返った。
まぶしい光は、吸い込まれて行くようだ。
出て来たそこに引き返した。
ああ、あの彼女に入口に電灯つけるのか聞いても良かったな。いや、連絡先だって。
思いながら、世界が違うと首を横に振った。
六だ。
見覚えのある暗さと岩盤の色に安堵しながら、一列になった洞窟を目で数える。端には青の照明が見える。そして、五つの小さな洞窟を過ぎ、もう一方の端、白い光を中にいれた六番目に着いた。
これでまた別世界に入ったら洒落にならないな。そう凝視しつつ、息を吐いて体と赤い班点が残っていた真新しいスニーカーを差し入れた。
額の衝撃に呻いた。
唸って、片掌で押さえる。
岩にぶつけた痛みは、脳の揺れもだが、頭蓋骨と挟まれた肌が破れたかと思った。
しかし、前は岩壁だった。
そっと呼吸をし、後ろを見ると、見覚えのある五つの照明の色が漏れ、六番目は元からないように、俺は行き止まりに向かっていた。
出口をと、ふらつく足取りで暗い世界を駆け、柔らかい光が差し込む洞窟の外へ、倒れ込むように出た。
「お疲れ様です」
スホが振り向いて笑った。赤毛のベッキョンに、赤い半そでシャツを着た姿で抱き締められ、そちらも自分を見て言った。
「なんか本当に疲れた顔してる」
きっと、今の彼らと同じくらい疲れた顔をしているのだろう。
「腹減ったよ―」
黒い砂浜の遠くで、カイが手を振っている。あいつはそこまで変わらないかもしれないとその刹那じわりと込み上げたものを口の端を上げ、塞いだ。
夕暮れに向かう太陽がほんのり色づいてはいるが、晴れた青空の下で、午後の光に穏やかに反射し出した紺碧の海の周りに、それぞれ佇んでいる八人は、とても疲れた顏をしていた。が、石を投げ入れたり、屈んできっと蟹を見ていたり、楽しげにはしている。こちらを見て、反応した。
若干涼しくなったのか、湿気も緩くなり、潮風に吹かれると、まだ六月だが、夏の終わりを思わせた。
「あのさ」
スホに、あの中年の案内人を見たか聞こうとしてやめた。ベッキョンも歩き出している。もう行かなくては。
自分も濡れた浜辺に踏み込んだ。目に隈を作っているシウミンが、黒ずんだ砂をいじりながら俺を見上げた。
「疲れた顔してるな」
笑いかけたが、その理由は忙しい芸能活動からだけではないような、誰も口にしない秘密を共有したような笑みを彼が見せ、先に立ち上がったセフンに続いて立っていた。
「肉が食べたいな」
少し背の低い青いジャケットを着た見慣れた人間がいつの間にか横を歩いている。あんなに、にこにこしていたのに。隣のチャニョルはまだ元気そうだが。
「海鮮だからなあ。大きな海老料理があるみたいだよ」
ギョンス。と答えながら、向こうの彼はあの後どうしただろうと思った。
「海老かあ……」
より肩を落としたように見えて、隣で手を叩いて笑ったチャニョルを俺と不審に眺める。けれど良く見れば、白に近い紫の髪の男も疲労が見て取れる。
「係の方いたんですか?」
前を歩いていた白い顔のリーダーがこちらを見た。
「いや、いなかった」
言いながら俺は何となく、次来た時は、この場所はもう見つけられないかもしれないと、ふとそんな予感がした。
「どこ行ったんですかね」
最年少だが、やはりその表情にもかげりが見え、明るい橙色の髪がそれを引き立たせていたセフンが話しかけて来る。彼も、まるで壮大な旅を終えたようだった。
顔を綻ばせ、そう言えば……踏まれていく砂を見ながらポケットに手を差し込んだ。
この色は向こうでも変わらなかった。
小瓶の栓を抜き、白い紙を開いてみた。




❝ おはようございます、皆さま。企画の閉会宣言をしに参った者です。


五人の書き手様、読者様もいかがでしたでしょうか? 
この企画『EXOTICA』は、六人の書き手で、9月12日から凡そ20日間に渡り開催されたのでございますが、今ここで終わりを迎えるわけでございます。


それではもう一度、洞窟、メンバー、五人の書き手様とお話のタイトル、自分の名前も上げさせて頂くのでございますね。


黄の洞窟:シウミン:フェリシティ檸檬様「闇を駆ける罪 海の底、森の奥
白の洞窟:セフン:みむ子様「identity crisis 虹を求めて|EXO企画
緑の洞窟:チャニョル D.O.:roiniy様「触手 大帝男子 EXOTICA
青の洞窟:カイ チェン:βカロテン様「cruel spiral arousal 緑黄色野菜
赤の洞窟:スホ ベッキョン:haruyuki2様「They Never Know ソラノムコウ
黒の洞窟:男:睡魔夢子「FINALE」


この六つの異世界は、書き手様のブログが存続する限り、残り続けるわけでございまして、六人の書き手による一つの長い物語は、読者様が読んで下されば何度でも「あの不思議な夏」として体験して頂けるのではないかと思っております。
何よりも書き手様同士の一夏の思い出として、これから先、二次BLの創作活動をやめ、この活動に何が残ったのか、もし考えられることがございましたら、「そう言えば六人で何か書いたな」と思い出して頂き、この『EXOTICA』が楽しい記憶の一つとして残るようなものに少しでもなればなと願っております。


フェリシティ檸檬様、みむ子様、roiniy様、βカロテン様、haruyuki2様、本当にお疲れ様でございました。


夏の終わりを、お素敵な書き手様方とご一緒出来て光栄でございました。
あとがきが残っておりますゆえ、そちらでも時間を共有できれば幸いでございます。
「あとがき」のことにつきまして再びお伝えしたいなと。明日10月4日朝9時に上げられますあとがきのタイトル表記でございますが、


EXOTICA:〇の洞窟:あとがき「お好きなタイトル」


で統一させて頂けたらと思います。タイトルはお話のタイトルでも、あとがき用のタイトルでもお好きにつけて下さいませ。あとがきは強制ではございません。


『EXOTICA』はこれにて終了でございます。今年の良き夏の思い出に、皆さまの中でなりますように。


長い間お付き合い下さり本当にありがとうございました。


それでは、またお話の中で。



睡魔夢子 ❞




読むことは出来なかった。
解読不能の記号のような文字に戻っていた。
何と書いてあったのか、あの時の記憶を起こそうとしても、気が動転していたからか、ほぼ思い出せなくなっている。
恐らく今晩には、この少量の記憶さえ消えてしまうだろうと思った。
「なあ」
前を歩くリーダーを呼び止め、振り向かれる。なぜか毛先が濡れている気がするが、汗だろう。
「今晩は、みんなで酒飲もうな」
炭酸の刺激のある華やかな酒はあるだろうか。俺があの味を思い出していると、
「明日仕事なんで」
と言って、苦笑する彼がいた。えー、飲めばいいじゃんと誰かの声が上がる。
「そうだった。悪い悪い」
次の衣装に似た彼らの何人かのシャツがはためいている。
じゃれあっているカイとチェンが既に砂浜を駆け上がり、柔らかい西日に照らされて、道路を歩いている。
椰子の木陰が自分達に下りている。
音楽も聞こえない。
潮風と、波音と、彼らの声だけだが、ここは十分楽園だった。
夕景の撮影は順調に行きそうだな。
向こうの世界も、息づいているだろう。
可愛い女の子は惜しかったが、もう一人の案内人の方がずっと覚えていそうだった。
しかし、あの男のことさえ、時が経てば自分は忘れてしまうのかもしれない。
彼らと店に着く頃には、黒い浜辺に置いて来た小瓶も、洞窟も、遠く、夏の楽園に埋もれるように見えなくなっていた。






『EXOTICA』END





『EXOTICA』is made by 6 writers


フェリシティ檸檬 『海の底、森の奥
みむ子『虹を求めて
roiniy『大帝男子
βカロテン『緑黄色野菜
haruyuki2『ソラノムコウ
睡魔夢子『夢の続き

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