夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「 I screwed up. 1」チャニョル×ベッキョン


事務所に入ることが出来て一番良かったと思ったのは、この人に会えたことで、それはもう自分の仕事が霞むほど滅茶苦茶大きな力。可愛い子は沢山いるけど、違う。彼女の魅力に国中の男がめろめろになって、自分も初めて画面で見た時に、これだと。本能を湧き立てられる。猫のような形になっている目、小さく整った鼻、綺麗な細い唇、挑発的な表情、仕草、もう何でもプラスに働いてしまう、あー歌唱力あるな、ダンスやばい、いや、そんなのなくても何でも、これが俺のアイドルとか、女とか。
それで実際、俺の彼女になりましたと、ベッキョンは綺麗だと褒められた長い指で触った腰が細くて、更に背中にまわし、背骨と共に健康的に鍛えられた背筋を感じて、思わず顔がにやけかけた。
薄いキャミソールの上からでも良く分かって、既に覚えた果物のような香りの香水にもつられるように、彼女の裸体を思い出した。
白く、細く、自分の下で踊る愛らしい表情を乱さない身体、儚い嬌声。
うなじにうずめた顔をそらしながら、ベッキョンは体も少し離した。下半身が反応しかけた。
やりたい。いれて掻き回したい、と頭が沸騰しかけて、思わず目を閉じて小さく頭を振った。
それはだめ、と己をたしなめた。
この場で下着も剥いで、柔らかな胸に吸いつきたい。とか、そういうのもだめ、と自分に喝を入れた。
「また会えないの寂しい?」
赤い唇から囁くように出て、ベッキョンは穴があくほど、小さく垂れた目で見つめ、少しぼうっとなり、「当たり前」と呟いた。
そう言えば、自己処理も怠っていた。
「どのくらい寂しい?」
首に手を回され、離れた体がくっついた。というより柔らかい体を、反応を楽しむかのように擦りつけられて、「待って待って」と慌てて剥がした。
「したくなるから。って言うか、出来なくて虚しくなる、から」
綺麗に整えられた眉が寄せられる。直ぐに、より明確に伝えないと不機嫌になることをベッキョンは学習していた。
「好き過ぎるとそうなるんです」
おどけて敬語を使ったのも、満足したみたいに赤く塗られた唇が微笑む。ベッキョンは安心するより、また見とれた。
しかし、時間だった。これから自分達は、自分達のグループに戻って、移動車で帰らなければならない。同じテレビ番組に出演し、収録開けの短い逢瀬だった。撤収し終わったスタジオの隅に隠れてはいるが、何もかもぎりぎりだとベッキョンは思った。
この関係は優秀なパパラッチのせいで人に知られているのに、むしろ知られてからが人目を気にして会えなくなった。が、恋愛感情は反比例するように大きくなっていく。アイドルに恋人が出来たことに対する誹謗中傷も増す一方で、本当に、全部ぎりぎりだと、ずっと夢見ていた先輩アイドルでもある可愛い彼女が「行こう」と踵を返した姿を、こちらも私服に着替え終えている姿でベッキョンは呆然と見つめた。
戻ると、メンバーはまだ楽屋に揃っておらず、そっと胸を撫で下ろした。
「ベッキョンさん」
ソファーに腰かけた自分の隣に、背に合わずふわりと座られた。
「どこで会ってたの?」
「スタジオ」
横を見ると、そんなことをしなくても大きな二重の目をわざとらしくぎょろっと開かれて、視線をぐるぐると泳がされる。
構わずベッキョンは携帯電話に届いたメッセージに「早く会いたい」と同じく送った。
「ちょっと、大胆過ぎなんじゃないですか?」
「じゃあ、どこで会えるんだよ?」
「って言うか、会うなよ」
送り終えた画面を眺めて、ベッキョンは押し黙った。
「場所考えろよ。リーダー、心配してたぞ」
「お前だって彼女と会いたいだろ」
「三か月会ってねーよ」
そう言われて、破顔した。
「何……笑っちゃってんの?」
「まだ会ってなかったのか」
「笑ってんじゃねーよ」
「三……か月……」
ベッキョンは携帯電話を片手に持ったまま俯いて肩を震わせる。こいつ、大丈夫かと言う風に、整った顔を唇を少し開き間抜けにさせ、横目で見られている表情に、その苛立ちが伝わってもベッキョンはとめられなかった。細い顎から普段は口角の下がる口元を、綺麗だと彼女に言われた指で塞いで、涙が出そうになるまで笑ってしまう。
本当に俺、大丈夫かな、と思ったのもベッキョンは可笑しくて仕方なかった。









つづく

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