「眠れない夜のエンジェル2」ユノ×チャンミン
~~このお話は、真夜中に起きているあなたに贈る、真夜中のお話。
こんばんは、みなさん。
僕の名前はシム・チャンミン。
僕は、『眠れない人の悩みを聞くエンジェル』です。
今日も良い夜になりましたね。
僕は、今、東京都は港区にやってきています。
このマンションにどうやら眠れない人がいるみたいなのです。
思った通り、電気のついたこの部屋に、その人はいました。
コンコン!コンコン!
僕が窓硝子をノックすると、ベッドに座ったその人が顔を上げたんです。
そして、僕たちは、
お互いを見て、固まりました、
口を開けて。
でも、ずっとそうしているわけには、いかないし、僕は窓のロックを開けて、と指さしました。
そうしたら、その人は訝し気な顔でこちらを見ながらも、
ちゃんと開けてくれたんです!
「……」
けれど、また見つめあって、立ち尽くしていました。
「あ……」
最初に声を出したのはその人です。
「えー……と、これって……」
「ドッペルゲンガー?」
僕の方が言ってしまいました。
でも、違います。
僕は天使なので。
でも、言いたくもなります。
だって、その人は、
なんと僕と何から何まで、全く同じ外見をしていたのです!
「えっと、これ、なに?あれ、それ羽?羽?」
どうやら声まで同じです。
「あ、これは羽です。僕は天使です」
「じゃあ俺は死んだんですか?さっきまでカップ麺食べてたんですけど、あれどっか腐ってたってことですか?」
「いえ、僕は『眠れない人の悩みを聞く天使』」
「そんな天使聞いたことない」
「まだ言ってなかったので」
「じゃあ、俺は生きてるんですね?」
「多分」
僕達はそうしてまた見つめ合いました。
「あの……」
今度は僕から声をかけました。
「はい」
「何であなた韓国語なんですか?」
「俺、韓国人です」
「え、本当に?」
僕は驚きました。
「はい……」
「わあ、偶然ですね!僕も韓国人です!」
「韓国の人……羽生えてないですけど」
あ!そうだった!恥ずかしいなあ!
「あ、ごめんなさい。僕昔そうだったんです。今は生まれ変わって天使になりました」
「……はあ」
「あなたの名前は何ですか?」
「あ……シム・チャンミンです……」
「わあ、偶然ですね!僕もシム・チャンミンです!」
僕たちは黙りました。
「ええええ!!!」
僕は声を上げながら、もう一度目を丸くして驚きました。
「あなた、本当にシム・チャンミンなんですか?いいかげん、僕は部屋に入ってもいいですか?」
目を瞬かせて、もう一人のチャンミンは手のひらを室内に向けてくれました。
僕はやっと部屋に入ることができました。
やっぱり三月でもまだちょっと寒いから。
「良い部屋ですね。広い」
「はあ……どうも」
チャンミンは、窓を閉めて施錠をしました。
でも、本当に、自分と全く同じ外見なんて変な感じ。
着ている服は違いますけど。
「チャンミン。あなたは韓国のどこの人なんですか?」
僕は何気なく聞いてみました。ちなみに僕は白いローブ姿です。天使ですから。
もう一人のスウェットを着たチャンミンは、
「はあ……」と言いながら、教えてくれました。
そして僕はベッドに腰をかけて、床にあぐらをかいて座ったチャンミンの、
出身地や親族の名前を聞いたのです。
僕は目を丸くしました。
「じゃあ、チャンミン!あなたはもしかしたら僕の子孫かもしれません!」
「え、ああ……そうなんですか?」
「そうです!びっくりです!こんなことがあるなんて」
僕は口に手をやって唖然としました。こんなに驚いたことは今までにありません。
チャンミンは後ろ髪に手を置いて言いました。
「そうですか?俺はびっくりするの、それ以前の問題かなって」
「チャンミン!僕はとっても嬉しいです!子孫の悩みが聞けるなんて!それであなたの悩みは何ですか?」
「……」
つづく
2016/03/08 01:30公開