「This is love comedy.7」ユノ×キュヒョン
俺の恋人だと言いながら、移動車の中ではずっとキュヒョンはチャンミンと楽し気に話している。どうせなら、お前らがくっつけば良かったよ。
って俺はまだくっついてないからな!危ない!危ないぞ俺!気をしっかり持て。俺はキュヒョンの恋人じゃない。もうこれ世界中にそう思われてるんじゃないかって思うけど、付き合ってないから!
「じゃあ、お疲れ様です」
「おー、また明日」
移動車が二人のマンションに到着する。俺はチャンミンに手を挙げる。
ん?チャンミン?何で外にいるのがチャンミンだけなんだ?
「ってうおおおい!」
何でお前も俺の隣で手挙げてんだよ!
「はい?」
「お前の宿舎だろ!」
「やだなユノヒョン!恋人との時間を俺が忘れるわけないじゃないですか!今日はスタッフにご飯ちゃんと買っといて貰いましたから!」
確かに、何か後ろから良い匂いするなあと思ってたよ!
「俺の好物ばかりです!」
知ってるよ!
折角買った二人分の惣菜だからとか、そんな理由で納得させられてってもう何を言っても俺の宿舎までついてくるから。
「はあ……」
「さあ!食べましょう!どうぞ」
「ああ?うん」
手渡された箸を受け取る。
救いは、思った通り今日のチョイスも見事に美味しそうなものばかりってことだな。俺は納得させられた様に見せて、本当はこれが食いたかったのだろうか。
「うまいな」
「良かったです!今日はお母さんの料理はないんで野菜も殆どないです!」
「うん」
「ビール飲んでもいいですか?」
もう何でもいいよ。ってだめ、負けちゃだめ。
でもビール位飲んでいいよ。
「俺んとこあったかな?」
「あります!飲んでなければ冷蔵庫の三段目に入ってます!」
「……どうぞ」
「美味しい!」
「……良かったね」
キュヒョンが箸を止める。なんだよ?
「ユノヒョンは俺に野菜食べろって言いませんね」
まあな!お前にお前の分まで食べさせられてるからな!
「今までの恋人には言われてたのに」
「うおおおお」
「どうしました?」
「あのな、キュヒョン!言っとくけど俺達は付き合って」
うん。やっぱり聞いてないよね、そういう時。
「どうぞ」
キュヒョンが冷蔵庫からもう一本ビールを取ってきた。
「キュヒョン。知ってると思うけど俺、強くないからいいよ。これチャンミンが入れてたやつの残りだから」
「残り俺が飲むんで、一口位飲みませんか?」
そうだな、それなら……見るとキュヒョンは片手に一本ずつビールを持っている。自分の飲んでいる缶と、俺用に持ってきたやつ。なるほど、俺が残しても、缶で飲むのか。
つまり間接……。
「グラス下さい!」
「ユノヒョンはグラス派でしたか!」
何か嫌な想像しちゃったよ。いやいや、全然普通だよ?チャンミンとだってそんなのするし。でも今は刺激は禁物だ!刺激は命取りだぞユノ!
キュヒョンが持ってきたグラスに一杯だけ注いで、残りを渡す。
「乾杯!」
キュヒョンが笑って言う。俺も何となく口元が弛む。
だからって好きにはならないけどな!俺が酔いつぶれて、それでいい感じになるパターンだと思ったら大間違いだからな!俺は制御できるんだ!
だから潰れたのはキュヒョンの方だった。
「ユノヒョン……今日は……泊まれ……ます」
テーブルに突っ伏して寝始める。潰れたというよりも、これはただの睡眠不足だな。こいつがこんな酒量で酔うはずないし。
「立てるか?チャンミンの部屋で寝ろよ」
仕方ないので、肩を貸して、チャンミンが使っていた部屋へ連れていく。ベッドに寝させると、すぐ寝息を立て始めた。
外に出ないのか異常に白い肌だな。この茶色いキノコみたいな髪型変えないんだろうか。
良く考えてみれば、こいつが変な事言い出してから初めてこんなに接近したな。むしろこんなこと言い出す前の方が、まだお互い肩を抱き合ったりしてた気がするよ。
「変な奴」
まあそっちの方が俺にはいいけどな!
さ、寝よ寝よ。
自分のベッドでな!
で、起きると。
どうやら早朝に帰ったらしい、キュヒョンは「練習があるので帰ります」と置手紙を残して消えていた。もう昼近いしな。俺も疲れていたかな。でも久しぶりの休日だし、有効に使おう。ってことで、友達とでも遊ぶか。誰か捕まるだろう、行ってみたい焼肉屋があったしな。いや、待てよ。こんな時こそ勉強するか。そろそろ日本の活動も増えてきたし、日本語の勉強最近ずっとしてないしな。
よし、友達と昼食って、ジム行って、録画しといた日本のバラエティでも見るか。皮膚科は最近肌の調子は良いし、今度でいいな。
ってことで夜になりました!理想の休日になったな。今のところはな!流石に今日は来ないだろう。飯どうするかな。久しぶりに出前取るか。
インターホンが鳴ったな!うん、早いな!
まだ注文してないしな!
「……お疲れ」
ドアを開けてそう言った俺にキュヒョンがきょとんとした。でもすぐいつもの調子に戻った。
「お疲れ様です!今日も沢山持ってきましたよ!」
言っとくが、恋心が芽生えたわけでも諦めたわけでもない。ただ腹が減っているだけだ。
そして、こいつの持って来る飯はとても美味しい。
「今日は全部お母さんが作ってくれました!」
「そうか。それでお前の好物ばかりなんだろ?」
「そうです!流石俺の恋人!良く分かりましたね!」
一言余計だけど、箸持ってきてくれてありがとな!
つづく