夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「PLAY 最終回」ユノ×チャンミン

音楽が終わって、
突然立ち上がった俺を、チャンミンだけが眉を寄せて見た。
「休憩入ります」とスタッフが声をかけあっている中、俺は観客席からその姿を見つめる。
周りの人間に声をかけられているのも、聞こえていないように、チャンミンは微動だにせずステージから俺を見ていた。
まるで、自分達二人しかここにいないようだった。





足を踏み出した俺に、チャンミンが体を引いた。




それを気にせず、俺はステージに駆け上がる。




それに合わせて、チャンミンが逃げるから、目を丸くしていくスタッフ達の前で、
自分達は追いかけっこになった。
いつもライブ中は走り回っているから、その感覚には近いけれど、
観客もいないのに追いかけまわるのはいつぶりだろう。



俺の方が足が遅くなっているのが分かる。


これは確実に年齢だろうな。


視界に流れる景色はまるでこれまでの自分達の走馬灯のようだ。


ステージを一周して、


もうステージ裏の廊下や、楽屋まで来て、


非常口から出た階段の薄暗い踊り場で、


多分わけが分からず、なぜ自分がこんなことをされているのか気になって来て


速度を下げたチャンミンの腕を掴んで、
壁に押さえつけた。



壁に片手をついて苦しい体を折り曲げながら見上げる。



壁に背を付けて見下ろされる。



前髪をじんわり濡らす汗を、二人とも額から流している。


お互い喋れない。
息が整わず、荒げた呼吸のまま見つめ合う。
しばらくそうして、肺が痛むのを感じながら、やっと声を出した。



「な……んで逃げるんだよ」


「追いかける……からでしょ」



まだ整わない息は続く。
出会った頃ならもう回復していたかも。



「なんで……追いかけてきたんですか」


「逃げる……からだろ!」



苛立った声で、その体に抱きついた。
凍り付いたように体を強張らせたのが分かる。
見慣れた肩に顎をのせて、呼吸を整える。全く女とは別物だな。


「……なんの……つもりですか」


やっと、落ち着いてきて、その顔の両脇に手をつきながら体を離した。
覗き込んだ顔が信じられない目で俺を見ている。
目蓋の腫れは完全に引いたようだ。


「やっぱりこれ、背が低い方がやっても格好つかないな」


目の前で笑った俺を凝視してチャンミンは何も言わない。
自分の心臓は早鐘を打っている。
でも走ったせいなのかまた分からない。
俺は仕方なく、一息ついてから、周りに人がいないか素早く見まわした。


そして、その目が丸くなるのを視認しながら、


これも見慣れた唇に、


自分の唇を押し当てた。


すぐに離す。
やっぱり思った通り、悪くない。



「な……んで?」



こぼれそうな大きな目が更に開かれて俺を見る。
昔と変わらない目。
もう静まってもいい心臓は、狂いっぱなしだった。
この可能性にはかけてもいい。
というよりも、既に可能性とも言えないかもしれない。
不可解を通り越しておびえたような顔になっている自分より背の高い弟を
上目づかいに見ながら、俺はなぜか嬉しくなって来て、
にやりと笑った。
いい大人にだって、遊び心はあってもいいだろう。


笑った俺にみるみる顔を赤く染めていく。
その耳元に顔を寄せると、
重なった体から、自分と同じくらい狂った鼓動が伝わってくる。




これ以上ないほど高価で、不足のない相手だった。




そして息を吸い込むと、



そっと俺は囁く。





「今度はおれの番」







自分の耳に、
もう仕事上だけではないパートナーの喉が、






ゴクリと鳴った音が聞こえた。











『PLAY』 END

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