「Kiss me,baby.5」ユノ×チャンミン
その日、仕事の間中、ユノはそのまま、平常なユノだった。
「じゃあ、移動車の準備してくるから、待っててくれよ」
ソファーに座っている自分達に、俺とユノのマネージャーが出て行った瞬間、
隣のユノと同じ方向に向いて顔を背けた。
瞳孔の開いた目で俺を見つめているのが分かる。
「チャンミン」
「はい」
「キス……しちゃったね!」
俺は真顔のまま答えない。
「俺のこと……好きになっちゃだめだからね?」
ユノに向く。口角を上げて、上目づかいな目をゆっくりまばたきさせて俺を見ている。
「……神に誓って」
しっかりと頷いて言った俺に、そのままの顔でユノが頬を染めて言う。
「チャンミン……仏教徒でしょ?」
「チャンミンさん!ユノさん!」
隣のスタジオで撮影していた仲の良い後輩達が入ってきた。短いスカートの女子力の高い彼女たちに俺の鼻の下は一瞬で伸びる。
「ねえ、ご飯食べに連れてってください」
俺の腕にまとわりついて、さっきのユノみたいに上目遣いに見られた。
あ、ユノ。
ユノを見ると、そっちもまとわりつかれている。
普段、ユノは事務所内で、俺達が結構な大御所になっていることもあって、俺より特に気安く近づかれないけれど、この子たちはデビュー前から面倒見ていたこともあって、
仲は良かった。
「んー?」
ユノは微笑んでいる。
もしかして、この俺が、ユノに焼きもちを焼かれると言う場面を想像したけれど、ユノは余裕の笑みだ。
「ヒョン、行きますか?」
俺は声をかけた。俺は行く気満々だ。
「行きましょうよー」
俺の声に、乗っかるように、そう言ってユノに一人が腕を絡めている。ユノは苦笑していた。
「やめとこう」
「え、なんでですかー?」
立ち上がったユノに腕を離された子が見上げる。
「今日、すっごい幸せなことがあったから。そのまんまの気持ちでいたい」
微笑んだままそう言ってユノは、俺と後輩を残して、マネージャーと一緒に帰っていった。
つづく