切った野菜を鍋で炒めだした俺の横でキュヒョンの飴色玉ねぎが完成した。
「もう俺はさっき一緒に買ったインスタントラーメンにこれ入れて食って寝たい」
「なあ、キュヒョン。イチゴも炒めた方がいいと思う?」
「俺に聞くなよ」
「いれない方向もあると思うんだけど」
「何言ってんだ。このカレーはごま油とイチゴが決め手だろう?」
キュヒョンが横から鍋をのぞく。
「いや、俺、言ってなかったかもしれないけど、そんなカレー全然食いたくないんだよね」
「おい、言い出しっぺだろう。最後まで責任持てよ」
「分かった。じゃあイチゴも炒めよう」
イチゴも一緒に炒めた。
「おい、俺は今、自分が言ったセリフを後悔したぞ」
キュヒョンが言った。
「嗅いだことがない匂いがするな」
ごま油も入れたからか。
「見た目もあれだしな」
キュヒョンが顔を上げて、目を細めて続けて言った。
「……しかし、俺達は一体いつカレーの王子さまに出会えるんだ」
――俺たちののカレー作りは過酷を極めた――。
「おい、交代だ」
こたつで寝ているキュヒョンを起こす。
キュヒョンが目を瞬かせて起きた。
「煮えたのか?」
「いや、まだ」
俺が具を大きくしたいと言ったから。
キュヒョンが起き上がってぼうっとしている。
「このクリスマスの飾り付けっぽい部屋の中、ミッドナイトに男達だけでカレーを作る風景はカオスだな」
「鍋、俺のと二つにわけたから」
俺はこたつに潜り込む。
「分かった。煮えたら起こすぞ」
キュヒョンが台所に立った。
「お前の鍋、色すごいな」
それを聞きながら俺は少しでも体力を回復しようと目を閉じた。
――カレーの王子さまに会いたい――。
その一心で俺たちは頑張った……
只今2時48分(ユノの退役まで463日)