夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「夢の続き59」ユノ×チャンミン

切った野菜を鍋で炒めだした俺の横でキュヒョンの飴色玉ねぎが完成した。


「もう俺はさっき一緒に買ったインスタントラーメンにこれ入れて食って寝たい」


「なあ、キュヒョン。イチゴも炒めた方がいいと思う?」


「俺に聞くなよ」


「いれない方向もあると思うんだけど」


「何言ってんだ。このカレーはごま油とイチゴが決め手だろう?」


キュヒョンが横から鍋をのぞく。


「いや、俺、言ってなかったかもしれないけど、そんなカレー全然食いたくないんだよね」


「おい、言い出しっぺだろう。最後まで責任持てよ」


「分かった。じゃあイチゴも炒めよう」


イチゴも一緒に炒めた。


「おい、俺は今、自分が言ったセリフを後悔したぞ」


キュヒョンが言った。


「嗅いだことがない匂いがするな」


ごま油も入れたからか。


「見た目もあれだしな」


キュヒョンが顔を上げて、目を細めて続けて言った。


「……しかし、俺達は一体いつカレーの王子さまに出会えるんだ」




――俺たちののカレー作りは過酷を極めた――。




「おい、交代だ」


こたつで寝ているキュヒョンを起こす。
キュヒョンが目を瞬かせて起きた。


「煮えたのか?」


「いや、まだ」


俺が具を大きくしたいと言ったから。
キュヒョンが起き上がってぼうっとしている。


「このクリスマスの飾り付けっぽい部屋の中、ミッドナイトに男達だけでカレーを作る風景はカオスだな」


「鍋、俺のと二つにわけたから」


俺はこたつに潜り込む。


「分かった。煮えたら起こすぞ」


キュヒョンが台所に立った。


「お前の鍋、色すごいな」


それを聞きながら俺は少しでも体力を回復しようと目を閉じた。




――カレーの王子さまに会いたい――。




その一心で俺たちは頑張った……











只今2時48分(ユノの退役まで463日)

「夢の続き58」ユノ×チャンミン

俺は研いだ米をセットしていた。こういうのは米を炊き忘れるという王道パターンがあるから、注意しないといけないんだ。


「おい、チャンミン」


玉ねぎのみじん切りの工程をなんとか終えたあと、それを炒めはじめたキュヒョンに呼ばれて振り返った。
手を止めて、俺達の間にいるユノを唖然と見ている。


「リーダー寝てるぞ」


時計を見る。十時半過ぎか。
後ろで椅子に座っているユノの顔を覗き込みにいく。


……じゃがいもを持ったまま寝ている。


いつ切り終えるのか全く時間が読めず、椅子まで設置して、切ってもらっていたけど。


「ユノさん、起きて下さい。あと俺しますから」


みじん切りの後遺症で鼻ちょうちんを膨らませている。


「ユノさん」


「あ、うん、大丈夫」


ユノが起きて目をこすった。


「俺しますから。寝てて下さい。危ないから」


「大丈夫……やれる」


ユノがむにゃむにゃと答えた。
単に野菜を切りたいのか。チゲの印象が強くて、俺が料理下手だと思われているのか。


「ユノさん。俺、チゲは焦がしましたけど、結構料理できるんで、ちゃんと野菜切りますよ?」


「……知ってる。チャンミンは……料理うまいよ。知ってる」


手を止めていたキュヒョンが、また炒め始めた。


「じゃあ、任せて。ほら、立って。出来たら起こしますから」


本当に目蓋が開けられないようで、目をこすりながら、納得いかない顔で頷いてユノが立ち上がる。


そして、俺達に言った。


「じゃあ……美味しいカレー……できるの待ってるね」


「はいはい、ベッド行って」


ユノはベッドですやすやと寝出した。


野菜を切り始めた俺にキュヒョンが手を動かしながら、遠い目をして言った。


「どうやら俺は今、趣旨が変わった、という体験をはじめてしている」


「飴色になったか?」


「全然ならない」


遠い目のまま言った。


「酒でも買ってくれば良かったかな」


「そんなことしたら俺達も寝るぞ。それより、チャンミン、音楽でも流さないか?」


「ユノさん、寝てるしな。映画とかの方が良くない?」


「なんかあるの?」


「それが、ない。俺借りちゃうから。あ、でも前の住人が押し入れに置いていったアダルトビデオっぽいDVDあるよ。怪しすぎて見てないけど」


「この状況でアダルトビデオ見て何が楽しいのか俺に説明してくれ、チャンミン」


それに見れないし、音楽よりうるさそうだしな。


「野菜切り終わったぞ。そっちはどう?」


「飴色ではないな。もしかして玉ねぎは飴色にならないんじゃないのか?」


「どれどれ?あ、本当だ。火弱かったかな」


「しかも、チャンミン。ここでお伝えしたいことがあります」


キュヒョンの顔を見た。


「どうやら俺は今、玉ねぎを飴色にしている最中に終電を逃した、という体験をはじめてしている」


キュヒョンの目がまた遠くなった。









只今23時25分(ユノの退役まで464日)

「夢の続き57」ユノ×チャンミン

「飴色に炒める?」


キュヒョンが聞いてきた。


「それが美味しいと聞いたからやってみたいんだ」


「ほお」


「じゃあ、とりあえずユノさん野菜を洗って下さい。俺が切るんで、キュヒョンは玉ねぎを炒めて」


「俺が野菜切りたい!」


ユノが主張した。


「はあ。じゃあ、そうして下さい。俺米炊きますよ。とりあえず野菜洗っていきましょう」


「うん!」


まあそんなに大したもんじゃないし、分担を変える。


「しかし、あれだな。ルーを割って入れるのはテレビで見たことあるけど、これはこういうタイプなんだな」


俺とユノが袋から野菜を出している横で、キュヒョンがルーのパッケージから、袋を取り出した。


次々に俺が野菜を洗って、ユノに渡していく。


「ユノさん、玉ねぎのみじん切りからお願いします。それでキュヒョンに渡してください」


「分かった!」


「しかし大量の野菜だな。これ全部入れるのか?」


「せっかくだから、全部入れよう」


全ての野菜を洗い終えて、俺とキュヒョンはユノが簡易テーブルの上で、玉ねぎを切るのを眺めた。



「……」



俺達に時間が流れた。



「……なあ、これ玉ねぎ切るのだけで、日付変わらないか?」



キュヒョンが呟いた。


「まあ、涙が出るのもあるし」


ユノは涙と鼻水で大変なことになっている。


「ユノさん。俺やりましょうか?」


「大丈夫!やれる!」


「はあ」


「……」



そうして俺達にまた時間が流れた。



「ユノさん……俺が」


「大丈夫!」


「なあ、ちょっとみんなでイチゴでも食わないか?」


キュヒョンが提案した。



「そ、そうだね」



ユノが包丁を置いた。



俺達は洗ってまたパックに入れたイチゴを一つずつ手に取った。



「イチゴ美味しいね」



ユノが言った。



「うん、イチゴ美味しいな」



「うん。美味しい」











只今21時49分(ユノの退役時間まで465日)