「Let’s go to the 遊園地!6」ドンへ×ウニョク
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ーー観覧車の中。
「誰も見てないし、二人だけだから!これマジだから!」
俺は緊張で目を合わせられなくて、独り言みたいになった。
パノラマの風景の中でヒョクチェが困っている。
つぶらな目をぱちくりしておどけてみたりするけど、俺がのってこないから冗談じゃないのを痛感している。
「どうしよう」
ヒョクチェが気まずそうに笑った。
「ごめん、どうしても言いたくて言っちゃった」
「ドンへはもう友達ではいられないって感じ?」
俺は首を振った。恋人になれないのはキツイけど!
こうなるって俺、わかってたから。
「恋人になりたい……けど。だめだと思うから今のままでいいよ!」
わかってたのに、不思議だけどちょっとだけ希望持っちゃってた。ヒョクチェはそっと息を吐いて言う。
「今さらなんだけど、ドンへって男好きだったの?」
また俺は首を振る。
「ヒョクチェといたらすごい楽しくて、女の子が好きだったけど、ヒョクチェがもし恋人になったらなあって考えてたら好きになってた」
「そんなことあるか?」
ダッフルコート姿のヒョクチェが苦笑した。
ーー観覧車の上。
「昔から変わった子じゃったからなあ」
「そうですねえ」
老夫婦は覗き込みながら頷き合う。
ーー観覧車の下。
「大分焦っているようですね。座ってもくれませんね」
「こんな状況だからなあ。こちらの呼びかけも耳に入ってないのかもしれんな」
「もう一回呼びかけますか?」
「うむ。少し様子を見てもう一度呼びかけてみよう」
ーー観覧車の横。
青空を二羽の白い鳩が飛んでいる。
「ねえ、お母さん。最近ポップコーン食べてないね」
「そうねえ。この遊園地平日お客さん少ないからねえ」
母バトは息子に答えながらポップコーンの味を思い出していた。まったりと舌に広がる安い油の香りを思い出して、腹が減った。
「ホットドッグのパンでも良いわねえ」
「晩ごはんパン食べたいね、お母さん」
「そうねえ」
白い翼を動かしながら、パンの味を思い出して母バトの腹は更に減った。
つづく