「Let’s go to the 遊園地!7」ドンへ×ウニョク
ーー観覧車の中。
俺の大好きなヒョクチェが困ってる。
こうなるのが嫌で言わなかった。でもこんな状況で、限界だったんだ。
「なんか分かんないけど、好きになったよ。でも友達でも大丈夫だから」
俺を見つめるヒョクチェに笑いかけた。
これで気まずくなるかな?なるよね?
でもきっと乗り越えていけると思う。だって俺たちだし!最高のコンビじゃん!
なかなか目を合わせられなくて、伺うようにちらりと見ると、ヒョクチェはまた観覧車の外に目を向けた。
それから、
「ドンへのこと、俺も本当に大切だと思ってる」
と、言った。
鼻が高くて、唇がちょっとセクシーなヒョクチェの白い横顔は綺麗で、ずっと隣で見ていたいと思った。可愛くて綺麗な俺の……
「わかってるよ。俺たちは親友だよね」
見てられなくて俯く。
「ドンへ。見て、白い鳩だ」
そう言ったヒョクチェに顔を向けて、それから指差す正面を見た。横から飛んできた白い二羽の鳩が遊園地に降りていく。
「白い鳩ってさ。幸運を運ぶらしいよ」
ヒョクチェが降りていく鳩を眺めて興奮したように続けて言った。
「そうなんだ」
じゃあ恋が終わって前進できるってことかな。応えながら俺もぼんやり眺めてると、
「よし、俺、一回だけ、お前のそれに乗っかってみようかな」
と、隣で言われた。
ーー観覧車の下。
「なんか驚いてますね」
係員が双眼鏡を園長に渡すと、
「うむ。鳩が豆鉄砲食らったような顔しているな」
と園長が覗きながら首を捻った。
「あ、もう行けるみたいですよ。動かしてきます」
こちらに来ていた作業員がトランシーバーで少し話してから、観覧車の作動ボックスに向かう。
園長と係員がボックスに入った彼を見ていると、彼は腕を伸ばして親指を立てた。
ーー観覧車の上。
二人の老夫婦は上体を起こして顔を見合わせていた。
「おい、もしかするともしかするのか」
「そうですねえ。どうなのかしら」
「だめだ!近くで見よう!」
「あらまあ!おじいさん!」
ーー観覧車の下。
「お母さん、向こうに人がいっぱいいるよ」
大空から降り立った二羽の白い鳩は、少し離れたベンチの周りを歩いていた。
「ほんとねえ。あっちの方が良いかしらねえ」
母バトは園長達を首を伸ばして見た。
「でも、何も美味しそうなもの持ってない感じねえ」
続けて母バトが言うと、もう一羽はクルックーとため息をつく。
「場所変えた方が良いかも、お母さん」
「そうねえ……」
ーー観覧車の中。
「ヒョクチェ、それどう言うこと?」
え、まさか。
聞き間違いだよね?いや、勘違い?
「だからあ。ドンへの気持ちに応えてみようかなって、一回だけ。俺もチャレンジしてみるわ」
そう言って横目で見てきて、それからまた「だからあ」と続けて、
「付き合おってこと」
と、こちらに向いて、冗談ぽく得意げに言った。ぽかんと口を開けていた俺は、思い出したように言葉を発する。
「嘘でしょ」
「嘘じゃない」
「冗談じゃなく?」
「冗談じゃなく!」
パノラマの中でヒョクチェが歯を見せた。
「ヒョクチェーー!」
俺は外に向かって叫んだ。
「ドンへーー!」
ヒョクチェも外に向かって笑いながら叫ぶ。きっと声は下にまでは届かない。
「ヒョクチェーー!」
「ドンへーー!」
つづく