「不思議な夜に10」キュヒョン×イトゥク
確かに気まずくはなってるかもしれない。
俺はキュヒョンを見ると、自分の醜態を思い出しては情けなくなってしまって、なるべく顔を見ないようにしたし、キュヒョンはキュヒョンで、目が合うとそらした。
そこまでしなくてもキュヒョン、と思いながらも一日は終わって、また夜が来た。
宿舎のメンバーが寝静まってきて、本当に来るのか、俺も寝ようか考えあぐねていたころ、キュヒョンは来た。
「お前、連絡くらいしろよ」
「すいません」
俺は自分でも意外な程、普通にキュヒョンを招き入れていた。
目をそらしていたキュヒョンに、距離を感じたからかもしれない。
やっぱり寂しいものがあった。
「酒飲む?」
「俺は今日はツマミなくていいです」
キュヒョンはやっぱり二人になってもあまり目を合わせない。
その違和感をうめるように自分達は呑んで、酔いが回るにつれてやっとキュヒョンはいつもの調子に戻ってきた。
「トゥギヒョン、帰って来てくれて本当に良かった」
「また言ってる」
笑いながら話も弾んで、あの時の二人は頭をちらつくものの、やっぱりこの弟の提案は正しかったんだと思った。
二人で飲むのは楽しかった。
夜が深まると酔いも深まってきて、ふと気づくと、あんなに目をそらしていたキュヒョンが嘘みたいにこちらをじっと見つめているのが分かった。
その目がすわっている。
嫌な予感がする。
つづく