「夢の続き18」ユノ×チャンミン
「そう、あれはコンビニからの帰り道」
俺は、手を止めてこちらを向いたキュヒョンに話し始めた。
~シム(俺の苗字)随想録P.16
帰り道。
「ねえ、チャンミン。これが鳥肌っていうのかな」
「そうですね。寒いですからね」
そうだ。こたつあったな。
せっかく日本に来て買ったんだ。
帰ったらこたつ布団出そう。
いや、それよりも、店だよね。
店長の喜んだ顔見たら何も言えなかったけど、
むしろ言わないといけなかったんじゃないの?
シフトに出られない俺が言える立場じゃないし、確かにこの人が働くことができるんなら、みんな助かるけど……
「あの、ユノさん、ちょっとお聞きしたいんですけど、働いたことは」
「チャンミン」
ユノが俺の肩に手を置いて、突然立ち止まった。
夜も遅くなって来て、全く人通りのない、今までと同じ住宅街があるだけで何もない。
見えるのは、ただ、目の前から来た車だけで。
俺もわけ分からず立ち止まる。
そんな俺達の横を車は通り過ぎていった。
肩に置かれた手が強張ったのが分かった。
「あの」
「チャンミン、車には気を付けて。あと、俺は働いたことはないよ」
ユノの眼差しは真剣だった。
「はあ」
「あと、チャンミン」
「はい」
「この季節さ、Tシャツ一枚だけだと、寒いの通り越してなんか感覚なくなってくるね!」
「あ、そうですか」
~~
俺はかけうどんを見つめながら、こちらを見ているキュヒョンに言う。
「というわけなんだけど、何で働いたこともない人に俺は車に気を付けろって言われたのか釈然としないもんがあったよ」
「いや、車うんぬんより、俺は何で片一方がこの寒空の下、Tシャツ一枚でいるのかが気になったけど」
只今12時54分(ユノの退役まで499日)