「DOKI☆DOKI☆らぶ♡番外編~卒業してもDO・KI・DO・KI~」シウォン ユノ チャンミン キュヒョン ミノ ヒチョル
「おい」
「あ?」
呼ばれて振り返った。
なんだ。コイツか。
こいつもこの店来んのか。相変わらずでけえな。紺色のパーカーにジーンズ姿で後ろ頭をぐしゃぐしゃかいてる。
しかも声かけて何も言わねえのかよ。
「お前もしかしてあそこの大学か?」
「そう」
「お前勉強できたんだな」
「まあまあ」
食券をカウンターに置いて、何も言わず一緒にテーブルについた。
「お前何にしたの?」
「ビビン麺」
「ふーん」
「芸能人もこんな店来んだな」
「まあな」
俺は高校三年の時、文化祭で演劇をした。
見ていた芸能事務所のスカウトマンが、後日また学校に来て俺をスカウトして、卒業と同時に俳優になった。ドラマもヒットして、好調。
まあ、それと一緒にこいつらとは、縁がなくなった。元々一人だったから別に構わなかったけど。
今日は久々のオフで家の近くの麺屋に来てみた、というわけ。
「お前、今日暇か?」
「あ?」
でけー口で食うんだな。
相変わらず豪快な奴だ。
「飲もうぜ」
懐かしい奴と会って、久し振りに人恋しくなったのかもしれない。
懐かしの戦友は俺を一瞥して何も言わず、麺を食べ続けた。
店を変えた。
「可愛い子ちゃん、女だったんだってな」
「参ったぜ。いや、良かったけど。俺男好きじゃねーし」
殺しのバンビが焼酎の瓶を手に持ちながら、もう一方の手で頭をぐしゃぐしゃとかいた。
「ふーん」
俺は小瓶のビールを飲み干した。
「お前、男好きなの?」
「いや」
ゲイじゃないけど、俺が可愛いと思うやつはみんな男ってだけだ。
んでもって、この業界の中で何人かと「付き合ってみたけどすぐ別れて」を繰り返してるだけだ。
「でも男としか付き合った事はねえよ」
「お前それゲイって言うんじゃねーのか」
「うるせーな。あんま大きい声出すなよ」
俺のことを酔った大きな目が見つめてくる。バンビってあだ名は伊達じゃねえな。
「お前、結構酒飲めねえんだな」
「俺の方がペースはえんだよ」
まあ酒覚えたてだろうしな。追加のビールを注文した。
「まだ可愛い子ちゃんに未練があんの?」
「お前はどうなわけ?」
「あれ見せられた時点で諦めるだろ」
あの告白はなかなかだったよ、可愛い子ちゃん。
あんな先生より俺の方がよっぽど良いのにな。
「俺はわかんねーな……多分初恋だったから」
「は?」
目を見開いた。
「なんだよ?わりーかよ」
「マジかよ。じゃあお前の方がゲイだろ」
「ゲイじゃなかっただろうがよっ」
すぐ怒鳴るなこいつ。
「じゃあ、お前彼女は?」
「いねえよ。うるせーな」
俺は鼻で笑った。
「じゃあまあ、彼女いない同士飲もうぜ」
また乾杯して、それから短時間でコイツはべろべろになった。
「お前早く酒の飲み方覚えた方がいいぞ」
「うるせーな。お前の方が喧嘩つえーんだから早く運べよ」
舌打ちして、部屋に上げる。久し振りに自分の家に人が来た。
殺しのバンビが部屋を見て呟く。
「やるじゃん」
「うるせえよ」
一番上まで留めていたシャツの襟元を開きながら、肩を抱いて中にいれる。
「さすが芸能人だな」
「うるせーから、ちゃんと歩けよ」
リビングのソファーに振り落とす。
「いって……」
「もっと痛いこと沢山しただろーが」
あの頃よりは短くなったけれど、俺の方が長い髪を手ですいて直す。
「水飲めよ」
ペットボトルを冷蔵庫から取り出した。
「ほら」
ソファーに力なく大股を拡げて座って、俺を見る。
「受け取れっつーの」
前髪をかき上げた俺を、大きな瞳の丸い目でぼうっと見ている。
ったく。
ボトルの蓋を開けて、更にその顔の前に突き出す。
「ほら、取れよ」
するとそっとそのボトルの口に口を近づけた。
「何で俺が子鹿に水やりしなきゃなんねーんだよっ!」
しかもでけえし。
だけど、ごくごくと飲んで、もういいと言う風に首を振る。
舌打ちしてボトルの蓋を閉めた。
「じゃあ、シャワー浴びていいからそこらへんで勝手に寝てくれ」
そう言って、踵を返して俺は自分の部屋に向かおうとした。
その時っ👠👠
背後ででかいのが立ち上がったのが分かった。
「なんだよ?」
こちらを見ながら近づかれる。
肩を掴まれた。
その手を見てからその顔を睨みつける。
「お前俺の方が強いって忘れたわけじゃねーよな?」
酒で軽く欲情したような目になってる。
「てめえ、聞いてんのか」
「キスしてみてーんだよ」
「は?」
酔った目が見つめる。酒のせいなのか、その顔が赤くなってくる。
「だって彼女いねーし」
「ふざけんな。女作れ」
「俺、ゲイかもしれねーし……でも女っぽいやつの方がいい……」
ぐっと肩を掴む力が強くなる。
「このチェリーボーイっ!ふざけんな!!」
がばっと抱かれて、その腹に一発くらわせようかと思ってやめた。
絶対床が汚れる。
失神させてやろうか、とも思ったけどこれもやめた。
これも床が汚れそうだ。
抱き締められたまま、溜息をつく。
久し振りのこういうのは悪くないけど、
こんなヤローが相手って言うのが気に食わねえ。
「なあ」
耳元で呟かれる。
「していい?」
どうすっかな。
とりあえずコイツの首元に埋まった顔を上げた。
熱っぽい目が俺を覗き込む。
こう思うと、
今まで俺が付き合って来た男どもはどっちかとゆーと何でも言う事を聞く下僕に近かったな。
反抗的な奴は俺は嫌いなんだよ。
「お前なあ。んなもん俺にしたいのかよ」
「したくなかったら、んなことしねえだろ」
「一回だけだぞ」
と言い終わる前に、口づけられる。
あの大きな口が貪って来る。
あまりにもで目を見開いて、蹂躙される唇をどうにか離す。
「おっ前っ……ンっ」
また押し当てられて繰り返される。
マジふざけてんな。
息もつかせられずに力が抜ける。
俺だって、若いから体も反応してくる。
「やめろって!」
はあ、と一息ついて顔を見上げた。
するとっ👠👠
ぎゅうっと体を抱きしめられて、熱っぽい目がまた俺を覗き込んだ。
「彼女できた」
「できてねえよ!」
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