次の日。
「ヒョン聞きました?」
移動車の中でチャンミンが耳打ちをしてくる。
「何を?」
「キュヒョンが」
ああ俺忘れてたよ!すっかり現実逃避してたよ。
家帰って飯食って風呂入って普通に寝てたよ!
ごくりと唾を飲み込む。
「キュヒョンが何?」
俺が聞きたくなかったのに聞いた話か、それとも俺の知らない話か。
「ユノヒョンを好きになった話です」
ああ、そっちね!やっぱりね!
頭を抱える。
「ヒョン、大丈夫ですか?」
「チャンミン、あいつどうしたんだ?」
俺の顔を見つめて、チャンミンが話し始める。
「あれは四日前の話です」
なにこの雰囲気。
「チャンミン、俺人気落ちたかも」
「キュヒョン、元気出せよ、そんなことないよ」
「お前のとこは二人だから人気だって二分割だけど、俺のところは十三人だぞ」
「確かに、多いよな」
「占い……行ってみようかな」
「占い?ならあそこがいいよ。すごい当たるらしいよ、俺もついてくからさ」
「ここか」
「予約取れて良かったな」
「……あなたは今、仕事で悩んでいますね?」
「はい」
「……あなたのお友達が鍵を握っています」
「チャンミンですか?」
「え、俺?」
「……そのお友達の身内と付き合いなさい。きっと成功が開けますよ」
はい、ちょっと待って。
まずどこから行こうかな。
微妙なのから行くけど、その付き合うってこの付き合うじゃないんじゃないの?
あとさあ。
「……それって、チャンミンの妹でいいよな?」
「キュヒョンは妹よりもユノヒョンの方がずっと俺と絆が深いと思ってますから」
チャンミンがはにかむ。
そんな事言われると、照れ……ないから。感動とかいらないから。今はそういうのいらないから!
「……それ好きじゃないだろ?」
「一応三日間ヒョンのことばかり考えてたらしいです」
「俺、一応先輩なんだけど?」
この扱いなくない?
「先輩面するヒョンは嫌いです」
チャンミンが機嫌を損ねたのか顔を背ける。
「ちょちょ、チャンミン」
絆の深い俺のことも考えてくれ!あとまだ、男同士ってのも突っ込んでないから言わせてくれ!
ああ、本当にもう、何なんだこの馬鹿みたいな話は。
そんなんで俺を巻き込むなよ。
つづく