「夢の続き32」ユノ×チャンミン
「『ユノ』は来なくてもいいです。着替えててください」
ユノが黙ったから、バスルームに向かう。
さっさと浴びてしまおう。
「チャ……ミン」
振り返る。同じ体勢のまま、ぼうっと座っている。
この人意識あるのかな。
でも入らないと、これから俺はバイトだ。
シャワーを浴び終わると、やっぱりユノは着替えていなかった。
仕方ないので着替えさせて、簡単に歯も磨いてやる。誰かの看病なんて初めてで、子供の頃を思い出した。
こんなでかいの子供には見えないけど。
俺が視界に入ると安心するようで、大人しく寝る。
でも台所に立つにもトイレに行こうにも、名前を呼ばれて、そのつど俺は返事をした。
そしてまた風邪薬を飲ませて、
ユノが、寝入ったすきにバイトに向かった。
「チャンミン君、昨日は大変だったね。そういう時は言っていいんだからね」
「いえ、すいませんでした」
そう言って、店長と働きながらも気が気じゃなかった。
俺の日常は一体どうなったんだ!
この数日、あまりにもあまりにもでウンザリする。
でもって俺が「あまりにも」時計を見るから、聞いて来た店長に仕方なくユノの状態を説明した。
「そういう時は言ってって!チャンミン君!はいこれ!」
渡されたのは「お粥のレトルトパック」だった。
「早く帰ってあげて!」
「あ……すいません、店長あの、これも貰っていいですか?」
「いいよいいよ!早く帰りなさい!」
エプロンを取りながら、何となく目についた廃棄品の一つを取って、まだ勤務時間は半分も過ぎていないにも関わらず、帰らせてもらった。
アパートについて、自転車を置く。心なしか急ぎ足で、俺の部屋がある三階までの階段を上がって、足を止めた。
――何アレこわい。
俺の部屋のドアの前で、俯いた男が座り込んでいる。
慌てて駆け寄る。
「ちょっと、ユノさん!怖すぎです!」
ジャパニーズホラーやばい!
肩に手を置いて、軽く叩くと、その顔を上げた。
「チャンミン……」
また力なく笑って、呟く。
「……良かっ……心配した」
目を閉じる。
「閉じるな!!おきて!部屋入りますよ!」
ユノの腕を持ち上げて、肩にかける。無駄にいいガタイが全力でのしかかってくる。
これは俺が倒れる!
部屋に入って、汗もかいてたから、また着替えさせた。
なんでここ数日でこんなにこの男の裸見なきゃなんないのか。
只今15時50分(ユノの退役まで486日)