ずっとずっと隠してる。
じゃないと一緒にいられないから。
でも最近はもうバレないんじゃないかと思いはじめてる。
その俺の甘さが、
ユノにバレた。
ユノのマンションに先に着いた移動車の中で、「じゃあお疲れ」なんて平然と言うからちょっとイタズラしたかっただけかもしれない。
車から降りるユノの指先に一瞬自分の指を絡めた。
ギョッとして振り返るユノに、
「また明日」
と言って、俺がドアを閉めた。
さっきの休憩時間には、今日はどっちの家でごはんを食べるか小声でやり取りしてたのに。
まあ仕事がおして、なくなったけど。
窓の外を見ながら、ユノはすごいと思った。
本当に平然として、2人の関係を隠せるんだ。
俺だってそうしてるつもりだけど。
時々は寂しくなる。
久しぶりに、一緒に過ごせると思ったのに。
恋人の関係で。
ユノ怒るだろうな。
思った通り、次の日ユノはほぼ完全に俺を無視した。
やっぱりか。
俺も慣れたもので、自然に対応してしまう。
夜の収録前の楽屋の中で、そんな俺たちに全く気づかないスタッフがみんないなくなった束の間、ユノに切りだされた。
「あれはやめろ」
俺はまだ無視していたけど、それは俺が了解したって意味なのは言わなくてもユノには分かる。
無視しながら、でもなぜか泣きなくなった。
でもメイクは崩れるし、俺はそんなに弱くない。
また、次二人で会う時はすごい仲の良い恋人同士になってるはずだから。
大丈夫だから。
言い聞かせると気分は落ち着いてきて、やっぱり返事だけはしようとユノを見ると、ユノはずっと俺を見ていた。
「すいませんでした」って声を出そうとすると、スタッフが呼びに来て、二人で行かないといけなくなった。
楽屋から出るほんの一瞬、ユノが俺の頬を手の甲で撫でた。
びっくりしたけど、顔には出さない。
「それはいいんですか?」
とユノにボソッと言うと、
「これくらいは許してよ」
と笑ってきたので、俺もついポーカーフェイスが崩れる。
まあそれ位なら許してやるか。
おわり