夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
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「ヒチョルちゃんとぼく 最終回」ヒチョル チェン SUPERJUNIORの短編 EXOの短編


「俺は女が好きだけど、見かけの話で、性別で好きになってるんじゃない。だからお前が女みたいに育ってくれれば、好きになる可能性はあるってことだ」
「そんな……難しいな」
ぼくは砂だらけの手で考えるポーズをとったよ。
「早いスタートだから、そこらへんの奴よりはうまくいくだろ」
ヒチョルちゃんはまたトンネルを掘りはじめたけど、ぼくは不安がつのるよ。
「上手く行くかな。自信ないよ」
すでにおでこは広くなってるし。
「心がけだろ」
「でも、大分骨格には出て来たと思う」
ぼくはこの年まで男の子だと思って生きて来たし。
「まあ、だから、決まってもないことでそんなに必死になるな」
「そんなこと言っても……」
ヒチョルちゃんが好きだから不安になるよ。正直トンネルとかどうでも良くなってきたよ。
それに、ぼくが女の子みたいになるってことも、どうかなあ。
「ヒチョルちゃん。ちょっとぼくアイデンティティーが……」
「俺が好きなら頑張るしかないだろ、チェン」
「う、うん」
そう……だよね。ヒチョルちゃんは女の子しか好きになれないんだから、ぼくが女の子みたいになるしかないよね。
「小学校高学年からが勝負だな」
ヒチョルちゃんは上手にトンネルをこっちまで通したよ。
「高学年かあ」
顏はもうアウトだと思うけど。
出来上がった砂山を見てまんぞくそうにうなずいているヒチョルちゃんは、やっぱりすっごく可愛いけど、ぼくはとてもじゃないけど笑えないんだ。
「お前の成長次第だ、チェン」
「医学の力を借りないと無理な気がするけどなあ」



そんなぼくたち。
「ヒチョルちゃん!」
「だからちゃん付けやめろって、チェン」
「でもずっとこれで呼んでるから呼びにくいよ」
「こっちの人聞き取り辛いだろ」
ヒチョルちゃんはサングラスを胸ポケットから出してかけたから、隣でぼくもかけたよ。今日も西海岸は快晴だよ。フロントガラスいっぱいにまぶしい太陽が見えるんだ。
「もっとお皿必要かな」
「いや、もう明日で良いだろ。早く帰って飲もうぜ」
「今回は頼んじゃったけど、ぼく料理は上手くなるからね」
ぼくがアヒル口でそう言うと、ヒチョルちゃんは鼻で笑ったんだ。
「別にいいよ」
「でも一つくらいは女の子っぽくならないと」
「もうそれは良い。人生は頑張ってもどうにもならないものがあるって俺はお前で学んだな」
「だけどぼく料理くらいは頑張って、ヒチョルちゃんに飽きられないようにしたいんだ」
「飽きないよ」
ヒチョルちゃんは前しか見ないけど、ぼくは25年間ヒチョルちゃんばっかり見てるんだよ。
「そんなの分かんないよっ」
「いや、分かる」
「なんで?」
それは、と言ってヒチョルちゃんは左ハンドルを上手に操作しながら笑ったんだ。
歯ぐきが見える笑顔はやっぱり可愛くてぼくの方は一生大丈夫そうだって思ったよ。
「お前ほど話が合うやつは、幼稚園の時からいなかったからな」
そう言って運転する大きな左手の薬指には、さっきぼくがはめたばかりの指輪が光ったんだよ。





『ヒチョルちゃんとぼく』おわり




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