「ヒチョルちゃんとぼく 2」ヒチョル チェン SUPERJUNIORの短編 EXOの短編
ヒチョルちゃんが男なんて、そんなの信じられないよ。
「前から、そう思ってんのかなって思ってたけどな」
土がついた大きな手をぱんぱんとはたいて苦笑する顏もすっごい可愛いのに。
「信じないよ!こんなに可愛いもんっ」
「俺、お前と同じ色の園児服着てんだろ」
「ああっ!」
本当だ!ヒチョルちゃんとぼく、同じ青色の園児服着てるよ!今気づいたんだ。
「え……じゃあ。本当に男の子なの?」
ぼくは良く広いって言われるおでこから青ざめたよ。
「おう」
「じゃあ、ヒチョルちゃんゲイなの?」
「お前ちょっと自分勝手なところあるから、子供のうちに直しといた方がいいぞ」
「そんなの良く分かんないよっ」
せっかくきれいに山ができたのに、思わずたたいて立ち上がって壊しちゃったんだ。
でも止められなかった。
自分の感情を。
ヒチョルちゃんが男?じゃあヒチョルちゃんとぼくは結婚できないの?
そんなこと考えたことなかったよ。
いつだって恋愛って複雑で、手に負えないよ。
ねえ、誰か教えてよ、恋の上手い攻略方法。
「ねえ、ヒチョルちゃん」
「おう」
ヒチョルちゃんは大きな両手で顔を支えながらぼくを見上げるよ。そんなしぐさにも、こんなにぼくがドキドキするの知らないんだ。
「ヒチョルちゃんは、体が女の子だったりするの?」
「お前の中の性別ってなにで決まってんだよ」
「そんなこと言われても子供だから分かんないよっ!」
ぼくはまた大きな声が出たよ。何でぼくは幼稚園児なの?子供って分からないことばかりで、すごく大変なんだ。
「おまえ、それ現実逃避だろ。まあしゃがめよ」
ヒチョルちゃんに言われたから、ぼくはアヒル口を尖らせて、砂場で座ったよ。せっかく作った砂の山も少し直したんだ。
「じゃあ、ぼくとヒチョルちゃんは結婚できないの?」
「まあな」
ヒチョルちゃんも大きな手で手伝ってくれた。でも、ぼく悲しいよ。ちょっと泣きそうだよ。
「……ぼくはヒチョルちゃんが男の子でも好きみたい」
だからこんなに胸が痛いんだ。
「最初のころは関係ないことあるらしいからな」
大きな手で砂の山を元通りにしていく。でもぼくはもう一回自分のところを叩いちゃったんだ。
「人間として初期だからじゃないよっ!ヒチョルちゃんが可愛いから好きなんだ!」
好きな子に、出来るところアピールしたいのに、格好悪いところばかり見せちゃうよ。でもぼくはヒチョルちゃんが好きなんだ。この気持ちは嘘なんかじゃないんだ。
「じゃあ、俺がおっさんになったらお前どうすんだよ」
ぼくはアヒル口をつぐんだ。
え?なに?
ヒチョルちゃんが、おっさん?
可愛いヒチョルちゃんが、おっさん?
ぼくの壊した山も直していくヒチョルちゃんを見ながら、ぼくは頭がまっしろになった。
「え、それって……FXやったり、海外でポールダンスとか見たりするってこと?」
「それもあるけど、腹出たり、禿げたりしたらどうすんだよ」
そんな……
酷い姿に……
つづく
EXO企画『EXOTICA』実施中→EXOTICA:「入口」 - 夢の続き