夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「Kiss me,baby.8」ユノ×チャンミン


それからというもの、度々、自分の腕時計を嬉しそうに眺めるユノが目撃された。



「ユノさんの腕時計、あれ彼女からとかですか?」



今日は同じ歌番組になった、女子力の高い後輩たちの一人が、

待ち時間の間、ステージ裏で、俺に向かってこそっと言う。


「違います」


向こうに立つユノを見ながら、丁寧に即答した俺を驚いたように見上げる。



「あ、そうですかー、良かったー」


「特に良くはない」


「え、あ、何で?」



彼女が去って、マネージャーが俺の隣に来た。



「あの腕時計一体何なんだ」



向こうに立つユノを見てから、不安そうに俺を見上げる。



「チャンミン、何か知ってるか?」


「知りませんというより知りたくなかった」


「え、チャンミン、それ知ってるのか知らないのかどっちなんだ」


「知らない方が良いこともあるということです」


「何か知ってるなら教えてくれ!バックアップだってできるんだぞ!」


「されたら困ります」



俺はそのユノの隣に行った。衣装に着替えた俺達は似たような白いスーツを着ていた。

だから今は、ユノの手首にあれはついていない。



「ヒョン」



俺は表情無く視線は正面を見ながら、耳元に顔を近づける。


ユノも正面を向いたまま答える。



「なんだよ?」



「みんな噂してますよ」



「なにを?」



「腕時計。危ないんじゃないですか?」



顔は正面のユノが鼻で笑う。


それを眺める俺に向いて、近づく。

耳をかたむける。



「片一方がつけることないんだからいいだろ?」



俺も前を向いたまま答える。



「むしろつけた方が人を安心させる気はしますが」



かと言ってつけませんけど。


ユノが声を出して笑ってから、また俺の耳元に顔を近づけてきたから、

傾けて聞いた。




「いや、だめだ。それはつけるな」




その声には一切笑いが含まれていない。


顔を離したユノは、それから話を変えて、もう耳元でするような話はしなかった。









つづく




「This is love comedy.11」ユノ×キュヒョン

朝です。



目が覚めて、携帯電話をみると、ミンホからメールが入っていた。「セーフです。全く覚えてないそうです」と書かれていた。


まぁ、良かったんだけど。


「はぁ……」


何か起き上がれないな。俺もまだ酒が残ってるみたいだな。玄関のブザーが鳴った。

マネージャーだな。てか最近マネージャー全然ここで寝てないな。そして最近玄関鳴りっぱなしだな。

なぜか、入ってきたマネージャーが怪訝な顔をする。おいおい、まさかどこかに昨日の名残が!隠しカメラが!ネットに流出!

恐る恐る仕度をして、でも何も言われる事なくチャンミンと合流した。


「ヒョン、顔赤いです」


「風邪かな!」


やっぱりな!俺も顔赤い自覚あったからな!でもこれは風邪に違いないの!甘い何かじゃないの!そっちとは違うの!


「じゃあ、あんまり近寄らないで下さい」


弟よ!昨日お兄ちゃん大変な目に合ったんだぞ!だから、まだ心臓が可笑しいのも、あんな目にあったからじゃないんだからな!これはラブコメじゃないんだからな!


で、風邪だった。


仕事の合間に病院で薬を貰う。


「ヒョン。一日分下さい」


帰りの移動車の中で、チャンミンが横から手を出す。まあ、多めに貰ってるからいいけどな。パートナーにうつすのもやだし。でもちょっとはお兄ちゃんの心配してね!

車が、先にチャンミンのマンションに到着する。


「お疲れ、チャンミン」


チャンミンがむすっとして答える。


「ヒョン、ビタミンちゃんと取るんですよ?果物を食べて。あと」


素直じゃない弟に苦笑する。


「分かったから。大丈夫、そんなに酷くないよ」


黙り込む弟を送り出す。「本当に大丈夫か?」と心配するマネージャーにも大丈夫だからと告げて、帰宅した。ソファーに寝転がる。一人でも大したことないくらいの症状だから本当に良いんだけど。


「ふう」


問題はあいつだ。俺が風邪だと言うと、必ず来るだろう。なぜなら、風邪引いた恋人の看病は王道パターンだからな。でもそうさせるわけには行かなかった。あの疲弊しきった体で来させたら、うつるのは目に見えてる。携帯電話を取り出す。


「キュヒョン?今日は来るな。じゃあな」


変な理由作るの嫌だし。何か色々言ってたけど、これでいいか。そのまま電源ごと切る。


いや、良くないよな。あいつがこれでいいわけないよな。こんなの絶対来るよな。もう一度かけ直すかと思ったけれど、思った以上に熱は上がっていたのか面倒くさくなって、そのまま寝てしまった。もう来るなら来い。


で、来た。


ブザーの音で目が覚める。はぁ、やっぱりかけ直せば良かったな。時計を見ると、あれから三時間ほど経っていた。遅かったな。気怠い体でドアを開けると、俯いているキュヒョンがいた。


「お疲れ、キュヒョン。悪いんだけど、俺さ」


「ごはん持ってきました」


俯いたまま、呟く。だから話聞けって。心の中でうな垂れる。

食欲ないんだけど、持ってきたもんは仕方ない。後で薬飲ませるか。



「まあ、入れよ。って今日はそれだけ?」



ダイニングに移動するキュヒョンの手元を見る。何だよ、俯いたままで。俺より元気なく見えるぞ。



「……浮気かと思って、何してるかチャンミンに聞きました。チャンミンが風邪だって」



あ、そうなの。ってお前本当に徹底してるな。キュヒョンは俺を見ないまま、食器棚から丼を一つ取り出す。

なんだなんだ?それからテーブルに置いた手提げ袋から弁当箱取り出して、その蓋をそっと開けた。









つづく

「This is love comedy.10」ユノ×キュヒョン


そのキュヒョンがゆっくり顔を上げた。



「本当?」



思わず、息をのむ。



「何もしなくても付き合ってる?」



だから、そこは俺の話聞けよ!飯食うだけのカップルなんてザラなんだよ、お前今までどんだけ手が早かったんだよ!って言いたいのに、目と鼻の先で見つめられて声が出ない。
顔が近づく。何で近づくんだよ!ちょっと洒落になりませんよ!


これはあれだな!この寸止めでインターホンが鳴るあれだな!うん、分かってるぞ、これは、あれだ!
でも近いな!息がかかるんだよ!流石に声出しとくか!


「キュヒョン、待っ……んんっ」


その唇が押し付けられた瞬間に、インターホンが鳴った。それ鳴る意味あんのかよ!いや、あるな!あるぞ!


「待てっ、迎えが来たから!んっ」


また押し付けてくる。俺も酒が入ってるからか、引き離そうとしてもびくともしない。壁を背にして、首に腕を回されたまま、キュヒョンごと引っ張り上げるようにして、どうにか立ち上がる俺に合わせて、唇が押し当てらてる。
手探りで、壁に備わったモニターからマンションのエントランスを開錠する。画面は見えないけど、もう誰でも良かった。早くこの状況を打破してくれ!
直ぐにでも寝てしまいそうな酔っ払った目で見つめられながら、キスされる。相手はキュヒョンだと言うのに、柔らかい感触のせいなのか、息が上がって来る。


あろうことか舌が入り込んできた。


「ちょ……」


久しぶりの濃厚なキスに舞い上がってしまっているのか、数回に一回は自分も返してしまっている。


「はぁ……お前ね」


いつの間にかなだめる様にその背中を撫でて抱き締めている。でもキスは終わらない。


「分かったからっ……ん」


お前の覚悟は見上げたもんだよ。はぁ、酔っ払ったキュヒョンだというのに、心臓がやばいな、アルコールもあるんだろうけど。酔っ払っていてくれて良かったよ、この音聞かれないで、って酒のせいでこんなことになってるんだよ!ここに来て王道パターン泣きそうだよ!


やっと、玄関のブザーが鳴る。唇を離す為に、抵抗するその頭を俺の肩に押し付けるようにして抱きしめながら、ドアのロックを開く。


「んーー!」


肩で不機嫌そうにキュヒョンが唸る。開いたドアの向こうに立っていた後輩グループのメンバー、ミンホが、俺達を一瞥して、そのままドアを閉めた。


「おい!」


手を伸ばして、ドアを開ける。ギュライン助けろよ!


「言っときますけど、ミンホはチャンミンさん攻めじゃなくて、俺の名前ですから」


「ミンホ!訳わからないこと言ってないで、こいつ連れて帰れよ!」


「最近付き合い悪いと思ったら」


キュヒョンの体ごと抱えて、ミンホに押し付ける。俺と同じ身長のミンホは軽々と俺の体からキュヒョンを引っぺがした。


「んーーー!」


キュヒョンが不機嫌そうに一層唸るけれど、もう目が開けられない状態の様だった。


「なあ、ミンホ。こいつ記憶なくすタイプ?」


「はぁ。ここまで酔ってるとなくすかもしれませんね」


ちなみに、ミンホはキュヒョンが自称「ギュライン」と名乗る飲み仲間の一人だ。何でギュなのかと言うと、キュヒョンは苗字と一緒だと「ギュヒョン」になるからなんだけど、もう今はそんな事どうでもいいよな!


「お前、送ってって、そのままこいつの実家泊まれる?」


「良く泊めて貰ってますけど」


「こんなに酔ってたら、家族の人大変だろうから向こうが大丈夫なら泊まってってやって」


「はぁ。まぁそうするつもりでしたけど」


「それで、目が覚めてこいつが何も覚えてなかったら、昨日は何もなかったって言ってくれ!」


「じゃあ、何かあったんですね?」


「……何もないよ」


「お付き合いが深まったと」


「深まったら、この先付き合えなくなるから、何もなかったって言ってくれ!」


てか、何でみんな知ってるの?こいつどんだけ勇気あるの!ミンホが少し俺を眺めて、溜息をついた。


「じゃあ、覚えてたら?」


俺も溜息をつく。


「お前に何か言ったら、全部夢だったとでも言って」



二人が帰って、俺はそのまま自分のベッドに突っ伏した。


これは俺のドキュメンタリーなんだから、こんな展開酷い。








つづく






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このせいで「ミノ」は「ミンホ」のままです。