「夢の続き8」ユノ×チャンミン
「ヘレンケラーの話してんの?」
「違う」
校内にあるコンビニのカップ麺を口に入れながら、長袖シャツを着たキュヒョンが「ふーん」と言ってから、また喋り出した。
「一番大事な実習の日に遅刻してくるからさ、俺の友達は本当に勇気があるんだなって、感動してたよ」
無視して俺も学食のカレーを口に運んだ。
雨は上がったものの寒さで外のテーブルで食べる人はいなくて、学食内は混雑している。
「じゃあ、その生まれたてみたいな人はまだお前の部屋にいるんだ?」
「だって、遅刻だし慌ててたし」
「大丈夫かよそれ」
「とりあえず貴重品的なものは持って出た」
キュヒョンが俺の隣の椅子に置かれたリュックに目を向ける。
「だからそんなでかいリュックを……」
「まあとりそうな感じではなかったけど」
「でもさ、悪い人じゃなかったとして、そんな生まれたてな人、一人で部屋に置いてきちゃって、そっちは大丈夫なの?」
「いや、それが生まれたてでもない」
食べる手を止める。
キュヒョンも手を止めて俺を見たのが分かった。
「俺の名前知ってたし、あと」
自分の手元を見ながら思い返す。
約十時間前。
「レンジ使った」
「レンジ?」
「うん。チゲ食べさせた時」
「ああ、そんな人にお前の激辛チゲを食わせた時ね。良く死ななかったよね」
「鍋はもう焦げ付いてたからさ、俺もそうするつもりだったけど、俺がやる前に、レンジで温めて食べよう、って言ってきた」
「ほお」
「皿に移したのは俺だったけど、レンジの操作できてた」
思い返しながら、言う。
少しの間キュヒョンが考えるような顔をして、
「最近の赤ちゃんはそんな感じなのかなあ……」
と呟いた。
只今12時13分(ユノの退役まで509日)
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ハイテクです。