「これさ……」

自分の着ている服を眺めて、テーブルの上のユノが言う。

「普段着にできるかな？」

水色の王子服から顔を上げて、立っている俺を見上げた。

その足元には、警察の制服が脱ぎ捨ててある。

「これはどうですか？」

箱から出した迷彩服を渡す。

「なんか一足先に行ったみたいな気分になるな」

「ユノ、これはどうだ」

マネージャーがタキシードを渡した。

「これとあんまり変わんなくないです？」

ユノがまた自分の王子姿を見ながら、受け取る。

「これはどう？習ってたでしょ？」

「何で道着まで買って来たの？」

ユノ、これは？これは？と約十着の服を試させた。

「あのさあ」

サンタクロースの恰好をしたユノが、散らばった服の中で、一着を両手で拡げて見ながら言う。

「俺もう少し実用的な服の方が……」

首を傾げて服を見ている。

「いやそれが、なかなかなくてな。事務所から戻る途中だとこれくらいしかなかったんだよ」

立っているマネージャーが腕を組んだ。

「そうですか。でも白衣は分かるんですけど、何でナース服まで……」

ナース服を手に取って眺めている。

「お前の好みが良く分からなかったからな」

マネージャーが顎に手を置いてさすった。

「これ違う好みになってるでしょ」

そう言ったユノから貸してもらって、俺も手に取って眺めてみた。

良くできている。

「まあとりあえず、当面はどれかを着てくれ。パジャマもあったろ」

「はい。ありがとうございました」

「ヒョン。お風呂入りましょう。服あんまり汚さないように」

「汚してもいいよ。じゃあ出前でも取るか」

つづく