「DOKI☆DOKI☆らぶ♡6~会議は教室で起こってる!?~」シウォン ユノ チャンミン キュヒョン ミノ ヒチョル
~~~~前回までのあらすじ~~~~
男子校に通っているシウォンはなんと女の子!「稲妻シンデレラ」こと番長と「殺しのバンビ」ことシム・チャンミン、学園のアイドルで友人のミノが、文化祭のあと喧嘩をすることにっ!?☆番長に勝たないとシウォンはキスされちゃうのっ!?大好きなユノ先生とライバルで学級委員のキュヒョンも交えたシウォンのDOKI☆DOKI☆学園生活はどうなるのっ!?☆
きーんこーんかーんこーんきーんこーんかーんこーん
「ということで、来たる文化祭の出し物ですが、このクラスは文化部に入っている人が多く、当日もそっちに借り出されるので、喫茶は除外し、半数でも出来るもの、教室内の片づけが少なくすむもの、しかも募金も募ろうという事で集客を考えた結果、体育館で行う演劇をすることになりました」
キュヒョンが教壇に上がって淡々と喋っていく。
「マジか……俺は観たくもねえぞ……」
前の席のヤツが机に伏せたまま、独り言を言っている。
はあ……
シム・チャンミンもミノも何考えてんダヨっ。
喧嘩なんて野蛮だヨっ!!
あいつら本気なのカナ。
確かに、あの番長はちょっと恰好ヨカッタし、可愛いって言われて嬉しかったけど……
でっ、でも、とにかくキスなんてっ!
そんなの……ユノ先生以外ダメ!絶対っ!
一人で両手で顔を塞いじゃうっ。
「今回はユノ先生も一緒に出演してくれるので、それも合わせて、みんなどんなものがいいか考えて下さい」
「え……?」
思わず、声を上げて両手を顔から下げる。
い、今ユノ先生も出演って!?
「ミノっ、ユノ先生出演するってキュヒョン言った?」
「らしいな。何かあるの?」
「うっ、ううん」
ゆ、ユノ先生も出演なんてっ!
じゃ、じゃあユノ先生が王子様役になってくれたら……
俺、俺……
お姫様がイイナっ!
そ、そしたら、ユノ先生と手繋いじゃったりして、も、もしかたら……キ……
なっ、ナンテネっ!
キュウウウウン♡
「ということで、桃太郎に決定しました。姉妹校の日本の高校生も来てくれるそうなので日本語もまじえて脚本を書きます」
「ワオっ!」
クラス中が俺を見た。
「どうしたんだよ?シウォン」
ミノが後ろから身を乗り出した。
「な、なんでいきなり桃太郎になっちゃったの?」
「他に案出なかっただろう?お前手あげなかったし」
ちょ、ちょっと妄想にふけちゃった間にっ!
ばかばかシウォンっ!!ユノ王子様のお姫様逃しちゃったヨっ!
はあ。ついてないナ。
でも、日本の高校生も来るなら、
授業でも習ったお話だし。うん。いいかっ。
「では配役を投票で決めるので、今から配る紙に、この前に書いた人の中から選んで、登場人物と一緒に名前を書いて折りたたんで下さい」
ユノおじいさんっていうのもいいかな。
そしたら俺はおばあさんがイイナ。
ユノおじいさんとシウォンおばあさん。
ウットリしちゃう。じゃあ俺はそう書いちゃうんだからっ。
もし、ユノ先生が桃太郎さんなら、シウォンはわんちゃんでもイイけどネっ。鳥さんでもいいっ!
「では発表します」
キュヒョンが集計して、結果を黒板に書き出した。
「鬼役、チェ・シウォン君」
鬼いいいいいっ!
俺、鬼いいいっ!?
「桃太郎役はミノ君」
しっ、シウォン信じらんないヨっ!
なっ、何でっ!?シウォン女の子なんだヨっ!?なっ、なんて酷い事!
「おじいさん役はユノ先生」
やっぱりおじいさん役はユノ先生なのっ?じゃあおばあさん役はっ!?
「おばあさん役、シム・チャンミン君」
「はあああ???」
俺と机にふせっていた前のヤツが同時に声を上げた。
「ふざけんな!何で俺が女なんだよ!せめてじじいにしろよ!」
シム・チャンミンが怒鳴りながら立ち上がる。
こいつが鬼でいいジャンっ!なんでシウォンが鬼っ!?おかしいヨっ!
「公正な結果なんです」
キュヒョンがメガネを触りながら、こっちを見る。
「おいおい、どうしたんだ?」
ユノ先生が入って来た。
「おっ、結構決まったな。俺おじいさん?そんな大役じゃなくていいよ。木とかないの?」
キュヒョンが顔を赤くした。
「木は、小道具で作るので……」
ユノ先生が木なら俺も木がいいっ!
「キュヒョンは何役なの?」
「……俺は……キジです」
「一番セリフ少ないのどれ?」
「……キジです」
「じゃあ、変わってくれない?キュヒョン」
教壇に立つ真っ赤な顔のキュヒョンに、ユノ先生が教壇の前で微笑んだ。
きゅ、キュヒョンいいナっ。
「それより俺と変わってくれ!!」
ユノ先生がこっちに向いた。
「お前は何役なんだよ?シム・チャンミン」
「じいさんと夫婦役だよっ!」
「じゃあ、却下だ」
ユノ先生が口に手を当てて噴き出した。
「とにかく、一番目立たない役がいいんだけど、これはお前たちのもんだから。先に言っとけば良かったな。まあ、これから会議だから、また後で決まったら教えに来てくれ」
ユノ先生が教室から出て行った。
「なんだよそれ!それならこいつと一緒に鬼の方がいいぜ!」
前のヤツが立ったまま俺を指さした。
「なっ!」
なんでっ!一緒にやんなきゃいけないのっ!あんた一人でやればいいジャンっ!
「それなら俺も鬼やろうかな」
俺の後ろから声がして、シム・チャンミンと同時に、ミノに振り返る。
「うん。それがいいな」
ミノがにこっと笑う。前のヤツが眉をしかめながら、キュヒョンを見た。
「じゃあ、俺達鬼にしてくれ」
「そんなに鬼がいたら倒せません。それに桃太郎もいないんじゃ、ただ悪がはびこる世界で、老人が桃を食べる話になります」
「桃食う話にすりゃいいだろ!」
シム・チャンミンが怒鳴った。
「原作と違いすぎます」
キュヒョンは赤い顔をさっと通常通りに戻して、眼鏡をかけなおした。
「とりあえず、配役は以上です。人手が足りなくなると思うので、みなさん出来るだけ時間のある時は参加して下さい」
っもう。
なんでこうなるのっ。
家に帰って溜息ばっかり。
「はあーあ、ヤになっちゃうなあ、っもう」
窓を開けて、夜空を見上げた。
お星さま、お願い。
シウォンの学園生活をもっと平穏無事にして下さい。
それからユノ先生にこの想い届きますようにっ。
「姉ちゃん、風呂入れよ」
「あっ、アンタっ!ノックしなさいよっ!」
弟のテミンがいつの間にか後ろにいた。
「したけど、姉ちゃん全然聞こえてないみたいだったから」
「っもう。だからって勝手に入らないでよっ」
「窓新品だ。姉ちゃんの部屋、相変わらずピンクばっかりだな」
「うるさいな。アンタの部屋もマイケルジャクソンばっかにすんのやめてよね!友達に色々聞かれて困るんだからっ」
「俺の部屋に入れるからだろ?」
「まっ、まあ感謝してるヨ」
風呂上がりのTシャツとハーフパンツ姿のテミンが隣にやって来る。
「姉ちゃんまた星みてんの?」
「そうよっ」
「俺も見ていい?」
クスッと笑う。小さい時は良く二人で星を見てたから。
何も言わないでいると、テミンも近づいて空を見上げた。
「姉ちゃん、すっかり男子高生なんだな」
「何よ?」
こうやって二人で夜空を見ていると、小さい頃に戻ったみたいだネ。
「私って言わなくなった」
「慣れちゃったからね、使ったらばれちゃうし」
「そうかな。まだユノ先生好きなの?」
「ウン。上手くいかないけどっ」
「俺も全然ダメ」
「なにアンタ好きな子いんの?」
テミンを見る。何で俺の周りって、肌が白い男ばっかなの?嫌になっちゃうナ。
「いないけど。俺、背低いし、180ある姉ちゃんが羨ましいよ」
「アンタまだ伸びるわヨ」
「クラスの女子がさ、俺のこと女みたいって言うんだよ」
「え、アンタもなのっ?」
テミンがこっちを向いた。
「お姉ちゃんも、昔からよく女みたいって言われてたっ!」
姉弟だからかなっ?
目を丸くしていた俺から、何も言わずに顔を前に向けて、
テミンは、また星空を見上げた。
☆つづく☆