「チャンミンくんの恋人50」ユノ×チャンミン
人が一人、小さくなって、大きくなった。
外見は、体格は、そして視覚は、とても重要なものなんだ。
色んなものを決定づけて、変化させて、
隔てたりする。
大きな男二人でどうしようもない。
俺に頼らなくてもユノは生活できる。
もう不用意な言葉はかけられない。
次にかける不用意な言葉は、非常事態という言い訳が通用しない。
確認行動が、恋人の確認行動にすり替わっていたんだ、ユノには。
だから俺はここで、こうしているしかない。
魔法はとけた。
この話は完結した。
独りになったここで。
温かな照明の中、なぜか心境はそんな色とは正反対で、手を動かすと、ベッドの上で、すっかり溶けてしまったアイマスクに触れた。
また冷やし直さないと。
でもその前に顔を洗わないと。
ユノは偉いな。
大きくなった相方は、俺が守らなかった約束を、代わりに破ってみせてかつ、この部屋で涙を耐えた。
そんな相方に甘えたように出て来る涙を俺は洗い落とさないと。
目を覚まして、そこを見上げる。
薄暗いままの部屋、小さな人間のいない視界はよく合っていた、
心境に。
日常が始まる。
ダイニングに入ると、俺より早く起きていたユノが朝食を取りながら俺に笑いかけた。
俺も同じく意識的に笑う。
マネージャーは俺たちより早く朝食を取っていて、色々と出してくれる。
食事内容を見ると、ユノが戻っても、いつもの品数の多さだった。
野菜が多くて、減量も継続中らしい。
明後日はテレビ収録だしな。
ユノと向き合って食べるのは、変な感じがした。
まだ慣れていない。
テーブルの上で、自分の手元で動いていない。
ああ、昨日突っ立っていたのはそういうことか。
向かい側に座るだけで戸惑っていた相方と、目が合った。
手が止まっている。
違う、完食したんだ。
俺を見て寂しそうに笑った。
「ご馳走様」
そう言って部屋に戻っていった。
これからきっと俺達は、一か月前に遡った行動を取っていく。
同じ空間には、いるのに。
仲が悪かったわけじゃない。
むしろ誰よりも多くの時間を共有してる。
分かってたつもりだったけど、
こんなに離れていたんだなと、改めて思った。
つづく