「PLAY12」ユノ×チャンミン
何度も来たことがある町で、初日、二日目と無事に終わっていく。今回、ツアーのセットリストには、古い曲がいつもより多く入っている。
ライブ中、頭の中には「進行」、「観客の反応」、「自分の体力」が常にあるけれど、その中に、「古い思い出」も加わってきたりする。もしかしたら、あんな夢を見たのはそんな曲をずっと練習していたのもあったのかもしれない。
そして同時に、考える必要もないくらい呼吸の合っていた「パートナー」もなぜか懸念材料として、入り込んでしまっていた。
――笑っている。
国内移動を終えて、日本で北端に位置する北海道に来ていた。
本格的にダイエット解禁したんじゃないかというくらいチャンミンは食べて飲んでいる。
チャンミンが目だけ笑っていない、なんてもしかしたら俺の思い過ごしだったんじゃないかと思った。
座敷で、少し離れた席に座っていたチャンミンは、明日のライブのリハーサルがスムーズに終わったのが良かったみたいで、楽しそうに笑っている。
まあスムーズに終わったのは出来が良かったからだから、気分が良いのはそっちのせいもあるだろうけど。
チャンミンだけじゃなくて、みんながそうで、飲んで騒いで、俺はその雰囲気にも酔って、トイレに行こうと席を立った。
トイレから戻る途中、向こうからチャンミンが歩いてきた。
チャンミンも赤らんだ顔で酔っている。
すれ違う時、思わず体を強張らせた。
また・・・・・・アレをするんじゃないかと思って。
心臓が変に音を立てた。
でもチャンミンは、
「あんまり飲んじゃ駄目ですよ」
と、言って、
こっちに目もくれず、
俺から通り過ぎていった。
つづく