夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「その目で笑って 3」(テミンの場合)ミノ SHINeeの短編


「兄さん電話来てる」
と、テーブルの上の機器にテミンは言った。
しかし、持ち主は来ない。
「ミノ兄さん」
四人掛けの隣のテーブルに顔を向けた。
二つに分かれた、残りのメンバーに話しに行ったミノと目が合った。
ぎょろりとした白目のはっきりしたそれがテミンを見て、首を振った。
テミンの前に座っていたマネージャーが、構わず自分に話しかけるのに答えながら、事務所が同じなのは良くあることだが、この彼女はかなり自分達とは長く深い付き合いで、これからもそれは続くのにどうするのだろうとアイスティーのストローに口をつけた。
丸く囲むようなピンクの唇が吸い込む。
背の高く長い脚の体で、ミノが戻り、座りながら、
「別れる」
と、小さく耳打ちされて、呆れた顔で一度瞬いた。
やはりと思いながら、テミンはもう一つのテーブルに視線を向けた。
他のメンバーと目が合った。
どうやら顔を寄せ合って話していたのはそれらしく、分かったような顔をしている。
恋人のことは報告したり、しなかったりだったが、今回は相手が相手だったので、普通にばれたのに近かった。
そして、結果も言わないわけにはいかなかったようだ。運悪く明日はその相手と自分達は会うのだし。
テミンは、また隣を横目に見る。
端正だけれど、目の形のせいか、良く開く口のせいかどこか面白い顔の一つ年上のメンバーは、どこに行っても、頭の小さなスタイルの良いのが魅力的に映るらしく、女性からメンバーで一番連絡先の交換を頼まれる。
愛想のよさと優しい雰囲気からかもしれない。
そうでもないけどと、テミンはまた啜った。年が近いからか、どちらかと言うと本当に兄弟に近くて、ミノは自分にだけは自然体でいるような気がした。
それにその目は、こういう時は険しくなる。
しかし、これでこの数日不機嫌な理由が分かったと、テミンは息をついた。
「まあ大丈夫でしょ」
車に戻る途中、前を歩くTシャツ姿のスタイルの良い長身を見ながら、更に年上のメンバーが耳打ちしてきた。
自分と同じくらいの背をした彼の小さな目に視線をやって、「大丈夫って?」とテミンは聞く。
「上手く明日はやるよ」
「そうですね」
こんなことはミノ含め他のメンバーでも何度もあった。問題ないだろう。
「テミン」
「なに?」
この雑誌の撮影を終えたら、明日は日本を出る。そして、自分達の国で夜は生の音楽番組だ。
「あの人触るな」
撮影は終わり、インタビューに入る待ち時間に、隣のアルミ椅子のミノにもたれかかられた。
「兄さんにだけだけど」
挨拶された時に、インタビュアーの女性がその腕に触って、さっきの休憩中も話しかけて来て、座っていた彼の肩を叩いたことを、テミンは、差し入れのペットボトルのミネラルウォーターを飲みながら思い出した。
日本ではあまりないけど、あることはあるし、全体的に珍しくない。
気が立っている、と丸い目を細めた。
今回はまるで私服みたいなTシャツ姿で、地肌に触られたのも気に障ったのだろうか。
肌の白い自分の肩に、袖から出た部分に少しかかったミノの顎を感じながら、兄弟みたいな男同士で、仲が良いと気にならないのにと思った。
どうしても気持ち悪くなる時は出て来る。それが職業だと思っても、誰彼構わず触られることに、笑顔でいられなくなる時がある。
「兄さん」
「何だよ」
「原因は?」
「んー……」
難しいけど、とミノが体を起こした。
もうあとは残そうと思っていたペットボトルをテミンはまた一口飲んで、正面を向いたまま、カメラマンには珍しい若く可愛い女の子に、話しかけている他のメンバーを眺める。
「元カノかな。同じメンバーだし。あの子にはもっと優しくした、みたいな」
そう言えば、あの子似てるな、とカメラマンを見ながら、彼女だったもう一人をテミンは思い出した。
「そういうの、あるかもねえ」
「度がな、ちょっとね」
と言って、またもたれかかって来る。
そうか、じゃあ明日はすごいなとテミンは思った。
「明日修羅場ある?」
ペットボトルの蓋を閉める。
「そんなことにはなんないでしょ」
「大変だなあ」
「そういう子じゃないじゃん?どっちも」
っていうか、あの子、俺にも似てるなとテミンは鼻で笑った。こっちは短髪だけど。
「そうだね」
と、返した。
じゃあ明日はもっとすごいのかと思った。
「何で笑ってんの?」
険しい目がもたれかかりながら向いた。
その目を見下ろして、ずっと、それでいれば良いのにとテミンは思った。
「お前、あの子に話しかけないの?」
「話しかけないだろ」
「なんで?可愛いじゃん」
だって、この時しかないのにとその顔を眺める。
「俺、話しかけて来ようかな」
その目が笑った。愛嬌のある表情をテミンは見つめながら、今回は短かったなと微笑んだ。







『その目で笑って(テミンの場合)』

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