夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「Say yeah!!」カンイン×シンドン

登場人物が違うクリスマス企画三部作の三組目です。
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~~あるクリスマスイブのこと、聖なる夜に、二人の男が酒を飲んでいた。





「……ヒチョルヒョン遅いっすね」



「スーパージュニア」というアイドルグループの中では、少し体型が横にひろい『シンドン』がジャージ姿であぐらをかいて、缶ビール片手に、とけたチーズのかかったチキンを食べている。その向かいには、同じようにジャージを着てあぐらをかいた、同グループのメンバー『カンイン』が缶ビールを手に、同じく二人の間に置かれた箱入りのチキンをつまんで、



「……多分、ヒョン、俺達のこと忘れてると思う」



と言いながら、かぶりついた。



二人は、先日、



「今年のイブは恋人がいない人間で集まって、俺の部屋で酒を飲もう」



と言ったこれまたメンバーの『ヒチョル』の提案通りに、ヒチョルの部屋にやってきたのだ。
けれど、夕方から部屋に来た二人だったが、時計の針はもうそろそろ日付をこえようとしていた。



「メッセージ……途絶えましたね……」



シンドンは自分の携帯電話を開いて、「もうすぐ帰るから待ってろ!」と言うメッセージを最後に、音沙汰のなくなったやりとりを眺めた。



「多分、ヒョン、俺達のこと忘れてると思う……」



カンインは大事なことなのか、しんみりと同じセリフを繰り返した。



「てか、みんな恋人いるんすね……」



携帯電話を横に置きながら、シンドンは缶ビールを持った手元を見て呟いた。



「いや、お前、いただろ?どうしたんだよ?」



カンインがビールをあおる。



「喧嘩して、別れ話が出たんですよ。もうだめっすね」



最近ダイエットを始めたシンドンだったが、それもあってやけ食いのように先程からチキンを食べ続けている。



「そうか……」



かける言葉もなくて、カンインはそう言って頷くだけだった。



「いや、ヒョンこそどうしたんですか?いっつもなんやら女いるでしょ」



「いや、いないよ。モデルとか時々来るけど俺、なんかダメなんだよ」



「そうっすか……」



シンドンもかける言葉が見当たらず、そう言って黙った。



「てか、この部屋すごいっすね」



二人の間に少しの静寂が訪れたが、あまりにも気になったのか、年下であるシンドンがそれを破った。



「まあな」



と答えたカンインの隣には、等身大のアニメの美少女がいた。
部屋は、それと同じアニメやそれ以外のアニメの美少女のポスターやパネル、フィギュアで埋め尽くされていた。いつもはここまでではないのに、ヒチョルにも今恋人がいないせいか、最近度を越したような、インテリアだった。
ちなみに二人の間に置かれたテレビでも、「それでも観てな!」と言われた通りに流しているのはヒチョルおススメの美少女アニメのDVDだった。



「ヒチョルヒョン、新しい彼女できたのかな……」



次のビールを開けながら、そう言ってシンドンはうなだれた。



「彼氏だったりして」



もう大分酔って来たカンインが自分で言ったつまらない冗談に鼻で笑った。



「俺なんかそういうのもファンから求められないもんな……」



シンドンはまたうなだれる。



「お前はずっと彼女いたからだろ?それを言うなら俺だってだよ」



体型の横幅はシンドンに次ぐカンインも、新しいビールを手に取った。



「ヒョンはトゥギヒョンと結構言われたりするでしょ。俺なんか皆無ですよ」



「いや、言われたところでな」



「そっすね、男ですもんね」



シンドンはしばらくの間また黙っていたが、ふと何か思いついたように顔を上げた。



「ヒョン!今日はクリスマスイブですよね!」



「そうだな。俺たちはクリスマスイブに……オタクの部屋で、男二人で酒を飲んでいる」



目を閉じて感慨深げにカンインが頷いた。



「俺、サンタさんに頼んでみますよ!」



「何を?」



頷きながらカンインは聞いた。



「今年クリスマス一日だけ俺を美少女にして下さいって!そしたらヒョンもハッピーだし、俺も女になったら、ヒョンを好きになっちゃったりして、クリスマス盛り上がるかも!」



「え、それいいじゃん!」



カンインが目を開いて賛同した。



「そうと決まれば善は急げだ!そろそろプレゼント配布時間です!」



シンドンが勢いよく立ち上がって、つかつかと窓に歩み寄った。
そして、カーテンを開きながら窓の外に向かって、叫んだ!



「サンタさんサンタさん!今年のクリスマス一日だけ、美少女にしてください!!」



見ていたカンインも気分が高揚して、その隣に立った。
時計の針は0時を指そうとしている。
その瞬間、二人が見る窓の外に、遠くで何かが夜空を横切った。
シンドンが目を見開いて、それを見る。
すると、窓ガラスに映っている自分の顔が、全然違っているのに気づいた。
急いで、部屋の入口にあった姿見に駆け寄って、自分を見ると、
そこにはなんと、
長い黒髪に、輝くような白い肌、桃色の唇の美少女が立っていた!
後ろにいるカンインに振り返る。



「ヒョンっ!やりました!!俺、美少女になりましたよっ!……ってヒョンも美少女になってるうぅっ!!!」



シンドンの見る先には、茶色の巻き髪に豊満な胸、二重の大きな目をした美少女のカンインが立っていた!



「え、マジ?」



カンインも姿見に駆け寄る。



「うおおおっ!!!!お前えっ!誰を美少女にするか言わなかったなっ!!」



「ああ、ヒョン!!」



二人はそれから何も言葉が出てこず、姿見の前で無言のまま立ち尽くした。聞こえるのはテレビから流れるアニメの声だけだ。



「……今、この部屋には美少女しかいませんね」



「……そうだな」



「とりあえず座りますか」



「そうだな」



ぶかぶかになったジャージの裾を上げながら、二人は元の位置に戻ると、さっきと同じように座った。



「……参りましたね」



「いや、本当に」



あぐらをかいた膝に華奢な手を置いて、二人とも、酔いもあってかぼんやりと沈黙していたが、今度は年上のカンインが切り出した。



「……飲むか」



「ですね」



また酒を飲み始めた。
シンドンが白魚のような指で袖をまくってチキンの箱を持ち上げた。



「ヒョン、このチキン貰っていっすか?」



「おー食え」



頷いたカンインの茶色の巻き髪が揺れる。



「そろそろ俺は焼酎に切り替えよう」



「あ、俺もそうします」



焼酎を飲みながら、たわわに揺れる自分の胸を眺めてカンインが言う。



「しかし、自分がこんなになるとはな」



「無駄にデカいすね」



シンドンが、艶めく黒髪を背中に流して、空になったカンインのガラスコップに細腕で焼酎をつぐ。



「だって俺、今なら自分をオカズにできるぞ」



カンインは折れそうな親指で自分を指すと、赤く小さな唇をすぼめた。



「なんかそれロマンチックすね」



「だな」



ウフフと二人が笑う。



「……しかし、二人ともなっちゃうとはなあ」



シンドンの桃色の唇からため息がこぼされた。
カンインは何も言わずに、大きな目で床を見つめている。
それが長く感じて、シンドンはちょっと心配になった。



「ヒョン?具合悪くなりました?」



「いや……」



と言ってカンインが言葉を濁した。



「なんすか?言って下さいよ」



「いや……その」



大きな黒い瞳の視線が泳ぐ。



「なんすか?」



カンインは躊躇ったあと、意を決したようにシンドンを見た。



「それがさ……俺、中身は俺のまんまだからさ、実を言うと、今、かなりお前にドキドキしちゃってるんだよね!!」



と甲高い声で思い切ったように言って、その瞳を潤ませた。
シンドンは桃色の唇をぽかんと開けた。
カンインのきめ細かい肌は真っ赤に染まっている。



「でもいい、だって俺もこんなだし」



と言って、カンインはぷいと横を向いた。



「……ちょっと待って下さい」



透き通るようなシンドンの声が、横を向いたカンインに投げかけられて、その豊かなバストの奥の心臓をまたドキッとさせた。
シンドンの白い肌が、バラ色に変わっていく。
そして自分を落ち着かせるように、小さく息を吐いた。
その桃色の唇をカンインのぱっちり二重が不安げに見る。



「あの、ヒョンっ、実は……俺もなんですっ!!!」



切なげにカンインを上目遣いで見ながら、シンドンは長いまつげを震わせた。



カンインの吸い込まれるような黒い瞳がそれを聞いて瞬くと、ウルウルと濡れていく。





そんな二人を窓越しに、遠い夜空から見ていたサンタクロースは、満足そうに頷いて、そりをひくトナカイに「ほいっ」と合図を送った。





―――次のプレゼントを待つ誰かのために、





また聖なる夜を駆けていく……







Merry X'mas!!

「性夜」チャニョル×レイ?

こちらは別館へ移動致しました。




→別館夢の続き:「性夜」チャニョル×レイ?(本館から移動)

「聖夜」ユノ×チャンミンの短編

登場人物が違うクリスマス企画三部作の一組目です。
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「ヒョン!!」



俺はパートナーの呼び声に起こされた。


今日は、仕事で、ホテルにいる。


実はクリスマスイブなんだけど、そんなこと関係ない。


明日は早朝から仕事だし、今日も早朝から仕事だった。


もう22時を過ぎたあたりから、眠くて眠くて、仕事上のパートナーのチャンミンも、確か同じくらいの時間に寝たはずなんだけど。


「んー……?」


と言って目を開ける。


「ヒョン!起きて下さい!」


「なんだよ?」


起き上がって、目をこすった。


「おばけがいたんです」


チャンミンの言葉に目が覚める。


俺はそういうの苦手なんだ。


「やめてよ、チャンミン」


チャンミンを見上げると、必死の形相をしている。
どうやら本気らしい。


「どこにいたの?」


「向こう」


と言って、カーテンを指さした。


今日は二人で同じホテルで良かった。


一人なら卒倒してた。


「ふわふわしたような感じ」


なんだそれ。


チャンミンも焦ってパニックになってるらしい。


「本当にいたの?」


チャンミンが何度も頷く。


「部屋変える?」


と自分で言って気づいた。


だめだ、今日は満室なんだ。


時計を見ると、もう日付が変わる。
睡眠時間もあまりない。


「分かった。チャンミン、電気つけて一緒に寝よう」


こくこくと頷くチャンミンの腕をさすると、心なしか震えている。


その腕を引っ張ると、もう何年ぶりか分からない、チャンミンが俺にぎゅっとひっついて来た。


俺を抱きしめて、首に頭をくっつけた。


その背中をよしよしとさする。


「寝よう、チャンミン。大丈夫だよ」


怖がっているチャンミンを抱きしめて、いつもは俺より目線が高いその頭を胸に抱いた。


少し顔を上げて俺を見る。


俺はその顔を覗き込んで微笑んだ。


その時、確かにゴトっと音がして、二人して体をびくっと震わせた瞬間に、自分達の唇が追突して目を見開く、でもそれよりも音がした方が怖くてそっちに目をやった。


なのに、なぜか首を延ばしてみても、部屋の中には誰もいない。


チャンミンはもう見ることもできずに俺の肩に顔をうずめている。


……確かに、これは怖い。


俺は布団を引っ張り上げて、チャンミンごと体を中に入れた。


暗い布団の中で息を潜める。


少し、空気口のような穴を作ると、光が入って、俺の顔を不安そうにじっと見つめている正面の顔が見えた。強張るけど笑顔を作る。


俺も少し震えている。


それに気づいたチャンミンが俺の体を引き寄せた。


またゴトっと音がして、二人でびくっと体を強張らせた。
今度も少し唇が触れたけど、そんなこと気にならなくて、それよりももっとお互いに触れていたくて、
強く強く抱きしめ合う。


そうしてるうちに相手の体にも慣れてきて、体を密着させながら、交代で眠っていた。
一緒で良かった。
どんな人間より安心できると思った。



音はもうそれ以上しなくなったけど、そうやって俺達は抱き合ったまま、朝まで布団の外には出られなかった。



多分、それがきっかけなんだけど、こんなこと誰にも恥ずかしくて言えない。



同性なのに恋人にまでなってしまったこの人間以外には。



「あの時は怖かったね」



と今でも言う恋人に、この日が来るたびに言うことがあるんだけど、いつも相手にしてくれない。



―――あの聖なる夜に、



首をのばして部屋を見廻した俺の耳に、



かすかに鈴の音が聞こえたような気がしたのを、



言うたびに、チャンミンは笑いながら、



また俺を抱きしめて来る。






~Merry christmas