「夢の続き38」ユノ×チャンミン
携帯電話のアラームで、深い眠りからさめると同時にいい匂いがした。
目を閉じたまま上半身を起こして、音がする台所に声をかける。
「ユノさん?」
「あ、チャンミンおはよ!」
うすく開けた目蓋の間から、エプロン姿のユノが振り向いてにこっと笑うのが見えた。俺、朝ごはんいつも食べないんだけどな。
「チャンミン!見て、見て!」
まだ半分寝ている俺の前に皿が出される。切ったトマトと目玉焼きとトーストが皿に乗っていた。
「見ました」
と言ってユノを見る。
「違う!食べるの!」
はあ、と答えながら、ベッドから出てこたつに入る。ユノも同じメニューの載った皿を持ってきて箸を渡された。
「チャンミン、これもこれも!」
そう言って、多分もともとうちにあったインスタントコーヒーの入ったマグカップも置かれる。
「俺も一口飲んでみていい?」
「どうぞ」
寝ぼけまなこで答える。カップは一つしかないから、一緒に飲まないといけない。
そして一口それを飲んだユノが盛大に噴き出したのを見てやっと、目が覚めた。
ユノの朝食を食べて、身支度を済ませる。
「行ってらっしゃい、チャンミン」
にこにこしながら玄関でユノが言う。
「ユノさん、大丈夫ですか?」
俺は、そんなユノが心配だった。
「なんで?大丈夫だよ!珈琲は駄目だったけど!いいから、早く!」
良く分からない文句で、風邪を引いた時とは別人のようなユノに送り出されながら、
俺はユノが、あのまるで実験に大失敗したような台所をどうやって片付けるのか、
難しくはなさそうにするけど、やっぱりはじめてははじめてなんだな、
と考えながら学校に向かった。
只今8時10分(ユノの退役まで483日)