「夢の続き5」ユノ×チャンミン
「俺が嫌だったら出て行けるんですか?」
玄関先を横目で見ると、案の定靴もない。
「チャンミンが……嫌だったら」
蚊の鳴くような声で足元に向かって言っている。
お金もなくて、靴もなくて、国籍も言えないような人間が、出て行くところをむしろ見てみたいよ。
目を瞑って盛大に肺から息を出した。
これは警察じゃなくて、病院かもな。
「とりあえず俺は明日学校なんで、今日はもう寝ないと。あなたは床です」
この世の終わりだったような顔が一気に明るくなった。
「いても良いんだ!」
「明日までですよ」
「え、明日まで!?」
またその顔が一気に落ち込んだ。
「じゃあずっといていいです」
「え!」
嬉しそうに顔を上げる。
「まあ嘘ですけど」
白目むいた。
兎に角寝ないと、もう頭が働かない。全く今何時だよ?
冷蔵庫の上にある壁掛け時計を見た。
深夜二時に何してんだ。
「ちゃ、チャンミン」
「何ですか?」
苛々しながら、時計から目線を前に向ける。
「なんか俺……お腹が変なんだけど」
「は?」
と俺が声を上げた途端に、ぐうっと言う腹の虫が鳴く音が聞こえた。
只今2時03分(ユノの退役まで512日)