「夢の続き66」ユノ×チャンミン
「うーん。あの人、結構変わってるよ?ちなみに連絡先なんてない。携帯持ってない」
「え、そうなんですか!」
「うん。どうしてもってことなら聞いとくけど」
うちにいるから。
「そうですかあ、まあそれで、俺はあの人は知り合いじゃないからって、言ったら、じゃああとの二人のどっちでもいいからって言われたんで、チャンミンさんなら大丈夫って言っておきました」
「って、おいっ!!蓑っ!」
何考えてんだ!こいつ。
「ほお」
さっきから、キュヒョンは何なんだ。
「だめですか?」
俺に上目遣いで見る。可愛くねーんだよ、男がしても。
「この時期忙しいの分かるだろう?日本人役なら発音も練習しないといけないし、無理だよ」
「やっぱそうですかあ。先輩たちこんなに日本語上手ですけどね。キュヒョンさんは?」
「俺はこいつに輪をかけて忙しいよ」
「分かりました。言っときます!」
にかっと笑う。こいつも違う学科だし、他人事でどうでもいいんだろう。
「先輩たち、三実の現像の方はどうですか?そろそろ佳境ですね」
白目がはっきりとした大きな目がきょろきょろと動く。
「俺は色変えていくのがこれから。キュヒョンは現像自体も残ってる」
「みたいですね。噂には聞いてます」
それでも余裕そうな笑みを浮かべてるキュヒョンを、横目で見ている。
「キュヒョンさんのカメラ、すごいですね。学生で使ってる人初めて見ました。あとどのくらい枚数あるんですか?」
「百くらい」
キュヒョンが首から下げてたのを手にもって見ながら、平然と答えた。
「ひゃく……ですか……噂には聞いてましたけど。すごいですね。現像室予約で埋まってますけど大丈夫ですか?って俺なんかに心配されても仕方ないですよね」
何にも動じていないキュヒョンの態度を不思議そうに見ている。
「大丈夫。俺色変えないから」
「そうですか……。じゃあ、俺、これから映画の現像室見に行くんで。ついでに伝えときます。先輩たち頑張ってください!」
そう言ってまた爽やかに笑うと、嵐のように彼は去っていった。
「なんだあいつは……」
そのあとを見送る。
「お前、出ないの?」
「なに?」
颯爽と走り去った後ろ姿から、声をかけられた隣に目を向ける。
「お前この調子でいけば時間できるだろ」
「出るわけないだろ。時間はあるだけ色調整するよ」
「出れば面白いのにな」
顎をさすりながら頷くキュヒョンに口を尖らせる。
「いいから行こう。お腹空いた」
「はいはい。俺は今日もマイごま油を用意している」
そう言ってキュヒョンがにやりと片側だけ口角を上げた。
只今12時16分(ユノの退役まで456日)