「This is love comedy.1」ユノ×キュヒョン
*観覧注意 タイトル通りユノの相手はチャンミンではございません。
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雑誌の撮影で、チャンミンが早く上がって、俺は控室で一人待機していた。
そこに珍しい人間が入ってきた。
外は摂氏ゼロ度の真冬で、極寒の日に俺の心も心底冷えた日になった。
「ユノヒョン、ちょっといいですか?」
ん、何でキュヒョンが?
自分達はアイドルで、俺のパートナーであるチャンミンの親友のこいつが、自分に何の用だろうと思いながら、ソファーに腰掛けたまま「おお」と返事をする。
ちなみにヒョンとは「兄」の意味で年上に対して使うのだけれど、俺は本名でもあるユンホの短縮形、「ユノ」と言う芸名でもある名前に「ヒョン」が付けられて呼ばれたのに対して、キュヒョンは「キュヒョン」と言う全てが名前だったりする。
そんなキュヒョンは思いつめたように、向かい側に座らず、俺の隣に座る。
何でこいつは隣に座るんだと思いながら、
まあいいかと大して気にしなかった。
変に真剣な目で、まるで愛の告白でもするようだなと笑いながら、手に持った紙コップのジュースに口付けた。
「ユノヒョンが好きなんです」
あやうく噴き出しそうになって抑える。
「噴き出しませんでしたね」
真面目な顔で言うキュヒョンに戸惑いながら、「ああ、ありがと」と返した。
「え?」
「ん?」
はは、とキュヒョンが乾いた笑いをするのに、自分も「はは」と笑う。
ユノさんお願いします、というスタッフの声に「じゃあ、行くわ」と言うと、「どうぞ」とキュヒョンはドアに手のひらを向けた。
変な奴だなと思いながら、撮影を無事終えて控室に戻るとソファーから立ち上がったキュヒョンがいた。
んん?
「お疲れ様です」
「え?ああ」
コートを着ている自分に、
「で?」
と言われる。
ん?なんか話していたか。
訳わからずその顔を見ると、
「だから返事です」
と言われる。
「何の?」
「あっ!」
キュヒョンが怪訝な顔をする。
「あー、何だこの人、聞き間違えてるよ」
一人でぶつぶつ何なんだ。
「だからあ、俺はあなたが好きなんですよ!」
ああ、その話か。何かと思った。
「ああ、うん。ありがと。俺も好きだよ」
しかし、本当に変な奴だな。俺はそんなに仲良いわけでもないぞ。
「ユノヒョン!聞いて下さい!」
目の前に立って、手を取られる。んん?
「俺の好きは」
183㎝の俺より少しだけ低いキュヒョンの顔が近づいて、不思議で首を傾げそうになる前に、
その唇が俺の唇に触れる。
「こういう好きなんですよ!」
固まる。
「まだ分かんないんですか?」
と、もう一度顔を近づける。
「ちょちょ!」
何?何が起こった?
いやいやいや、待て待て待て。こいつは一体どうしたよ!
振り解いた両掌をキュヒョンに向けて防ぎながら叫ぶ。
「待て!お前彼女いたよな!」
「ああ、それは三か月前に別れました」
いやいや、そうじゃない。
「女が好きなんだよな!」
「それはもういいです」
いやいやいや良くないよ!全然良くないよ!
「んん?」
「は?」
頭がついていかず、暫く立ち尽くす。
「ちょっと、俺、帰りますね」
あれ、何で俺キュヒョンに敬語使っちゃってるんだろう。
「あ、じゃあ今日のところは」
今日のところはじゃないから。明日からもいいから。
本当に一体なんなんだ?
こいつはどうしたんだ。
これは悪い夢なのか。
つづく