「This is love comedy.3」ユノ×キュヒョン
「ユノヒョン!」
楽屋を開けると、立ち上がって満面の笑みのキュヒョンがいた。
俺は膝を抱え込む。そんな俺の元に駆け寄って来る。
「ユノヒョン大丈夫ですか?どうしたんですか?昨日の返事はどうなんですか?」
「キュヒョン、お前の楽屋はあっちだよ」
俺は膝に顔を埋めたまま、三部屋向こうを指さす。
「そんな事より俺の返事を!」
うん、俺の心配はどこ行ったよ。
「なあ、キュヒョン」
俺の座った長ソファーの隣でキュヒョンが正座をした。
「はい」
「悪いんだけど」
「ちょっと待ってください」
掌を向けられる。
「言っときますけど、ネガティブな返事は一切受け付けませんから」
「じゃあ、返事できないな」
「あ!そんな上手い言い方やめて下さい!でも俺はこう捉えますね。返事は待ってくれと言うことですね、分かりました」
「ドンへぇっ!」
三部屋向こうの楽屋に飛び込むと、ソファーに座った俺の親友のドンへが振り向いた。
「おお。お前の楽屋はあっちだよ?」
三部屋向こうに指をさす。それはもういいんだよ。
「お前のとこのキュヒョンをどうにかしろ」
「キュヒョン?何?」
「ユノヒョン!」
背後から駆け付けたキュヒョンの声がする。
「ドンへからも言ってよ!お似合いだって」
「お?おお?」
言わねえよ。ちなみに俺とドンへは同学年なので、キュヒョンとチャンミンとは二つ年が離れている。
でももうこのキュヒョンは、十三人のリーダー、イトゥクヒョン以外にはタメ口で話しているようだった。
「俺とお前は親友だよな!ドンへ!」
口を半開きで俺を見上げていたドンへの肩に手をかける。
「こいつを説得してくれ」
「キュヒョン、どうしたんだ?」
半開きの口を閉じて、俺の後ろに声をかける。
「俺、ユノヒョンが好きになったんだよ!」
「仲良くて良かったな」
ちがう!俺もそっちだと思ったけど違うんだよ、ドンへ!
「俺はこいつにキスされたんだよ」
いつの間にか後ろに来ていたチャンミンの口があく。
兵役でいない、イトゥクヒョン、ヒチョルヒョン、カンインヒョン以外のメンバーもこちらを向いて口をあけた。
「ああ、俺らもそんなパフォーマンスするけど?カップリングって言うのかな?」
言うのかな?じゃないよドンへ!
「パフォーマンスじゃないよ!本気なんだ」
説明ありがとうキュヒョン。でも気持ちは受け取れない。
「まぁ、悪いことじゃないし」
ドンへ、話分かってるのかお前、男同士だぞ!最悪だぞ!俺の親友本当は阿保じゃないのか。
「大変そうだね、ユノ」
肩を叩かれて振り返る。
「ソンミン!」
そうだよ!ソンミンがいた。同じく俺の同学年でこの大所帯一番人気のカップリング、
キュヒョンとソンミン、その名もキュミン!
キュミンが世界を救う!
「ソンミン!お前から言ってくれ!」
お前には俺がいるだろう、ってこいつに言ってくれ!
「男同士はきついよね、俺ゲイじゃないし」
俺もゲイじゃないよ!
「でも可愛い弟が好きって言うなら応援するしかないしな」
「おいキュミン!」
「俺の名前はソンミンだよ」
「応援されましたね」
キュヒョンが嬉しそうに微笑んだ。言っとくけど、この温度差半端ないぞ。
「ユノヒョン」
また声をかけられて振り向く。
いた!このカップリングあった!
「シウォン!」
ウォンキュが今度こそ俺を救う!
「ユノヒョン、可愛い弟なんでよろしく頼みます」
真面目だね!シウォンは昔からそうだったよ。そこが可愛かったよ。でも今それが俺には辛い!
「シウォン……お前いいのか?お前だってウォンキュなんだぞ」
「ショービジネスですから、可愛い弟が幸せなら、実際ユノヒョンと付き合っていても仕方ないです」
付き合ってないです。キュヒョンよ、目を輝かせるな。
「そうですね!もう付き合ってるってことですよね!」
イトゥクヒョン、なぜあなたは兵役に行ってしまわれたのですか?
「俺達が付き合ってるなんてことになったら、どっちのグループだって大ダメージだぞ?」
うな垂れてこぼす俺の前にこのグループきってのダンスマシーン、ウニョクが現れる。
ダンスに熱い者同士、俺の気持ちが分かるだろ?ウニョク!
「芸能人にスキャンダルはつきものですよ?」
ウニョクは微笑んで、励ますように俺の肩に手を置く。その点についてはチャンミンの目も遠くなった。
まあな、お前達のは正直度肝抜かれたよ。
「可愛い弟を頼んだぞ」
イェソンは本当にキュヒョンに甘いんだよ。
シンドンが向こうでぼりぼりとクッキーを食べている。
「じゃあ付き合ってるってことでいいですね!」
キュヒョンが両手をあげる。歓声があがる。
え?なにこれどういうことだ?
「おいおいおい、俺が否定するんだからそれはないぞ!って聞けよ!」
つづく