夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「Kiss me,baby.16」ユノ×チャンミン

画面の時刻から目をそらした。


今は最善なんかない。とりあえず最悪なのは俺だ。



「すいません」



顔をあげて言った。


「なんだ?」


マネージャーが運転席で、呑気に答える。


目の奥で、


キスしようとしてくる唇は消えて、


嬉しそうに眺めている横顔が、取って代わっていた。



「時間に余裕があれば、寄ってほしいところがあるんですけど」



できることは、それだけだと思った。



けど、だめだった。


結論から言えば。


店に向かってもらった途中で繋がった電話で、「ない」とはっきり言われたからだった。



「あのリュックよく使ってたもんなぁ。まあ、また買えばいいさ」



「そうですね」



仕方なさそうに、答えながら、



なんで、使わなかったんだろう、




と、思った。




なんで、あの時、



ふと取り出して、眺めてみた時にでも、



つけることもしなかったんだろう、



と、思った。


タグさえ、外さずに、


俺は。



呆然としている表情を隠すために、窓の外を眺める。



ずっと一緒にいる、家族のようだった相手から貰った、


はじめてかもしれないあんなに気持ちの籠ったプレゼントを、



俺は。



その気持ちには応えなくても、あれをつけてみるべきだった。



人前じゃなくても、一人で、つけてみるべきだった。



目の奥で、嬉しそうにそれを見ている顔を、



思い出しては、青ざめている俺を他所に、時刻も風景も流れていく。







そして、ユノの待つ控室に入る時には、




その集合時間に十五分、





俺は、遅刻していた。







つづく

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