「Kiss me,baby.24」ユノ×チャンミン
俺は頭を抱え込んでいた。
ユノが何考えてるか分からないなんて言えたもんじゃない。
俺の方がどっかがやられてる。
俺だってもうユノのことなんか見たくないし、考えたくない。
でもそれは無理なんだよ。自分達は忘れたころに会いましょうなんてできない。
うん、無理だ。
「ヒョン」
「なに?」
俺は帰りの控室で、二人きりになるのを待っていた。
向かいのソファーに座るユノは携帯電話をいじって、顔を上げない。
そんなにいじるんなら、俺のにも早く返事できたんじゃねーの?
なんて考えた頭を振った。
「明日の収録、午後からじゃないですか?」
「うん」
「昼、どっかで食べません?」
ユノが俺を見た。
もう真っ向から行かないと、ユノのこれは解決できないと、決断した。
「二人で?」
「そうですね」
ユノが少し視線を彷徨わせてから、また俺を見た。その目は訝しんでいる。
「……なんで?」
「何で理由がいるんですか?」
紺のコートを着たパートナーが、俺を見ては視線を泳がせて、口を曲げて躊躇っている。
マネージャーが入って来た。
ユノが立ち上がって息を吸い込んだ。これは断る時の顔だ。
「じゃあ十二時にあの焼肉屋で」
言いながら俺も立ち上がる。少しだけ目を見開かれた。ユノのことが分からないとは言っても、さっきの顔くらいは分かる。何年一緒にいると思ってるんだ。
「ん?二人でどっか行くの?」
「明日の昼、二人でご飯食べてから来ます」
「あ、そう。分かった。何かあったら連絡してくれ」
ユノが不信な目で見てきたから、俺はしっかり微笑んで見つめてやる。すると面倒そうに顔を背けられた。
そして、報告したにも関わらず、今日も着替えたその手首には、違う腕時計がついている。
前を歩くユノはもう、今日は俺を見ないだろう。
なぜか、少し理不尽な気分になって、胸の奥が狭まるような苦しさを感じた。
マネージャーの後について無言で歩くユノの後ろ姿を見つめる。
まあ、断られなかったんだから、話は明日できるし、それでいいんだよ。
つづく