「DOKI☆DOKI☆らぶ♡2~気になるアイツは転校生~」シウォン ユノ チャンミン キュヒョン ミノ
~~~~前回までのあらすじ~~~~
男子校に通っているシウォンはなんと女の子!目覚まし時計をかけ間違えて、遅刻ギリギリ、朝に走ってぶつかった男の子が同じクラスに転校してきちゃった☆大好きなユノ先生と、学園のアイドルで友人のミノ、ライバルの学級委員キュヒョンも交えて、シウォンのDOKI☆DOKI☆学園生活はどうなるのっ!?☆
「あいつの噂、聞いたよ」
「あっ!!それっ!!限定のカレーパンっ!!」
屋上で座っている俺の隣で、ミノが20個限定、校内販売のカレーパンを取り出した。
「あぁ、貰った」
貰ったって!そんなの授業中から並んで買わないといけないのにっ!!
大体男なのに男からモテルってどういうことっ!俺、女の子なのにユノ先生に好きになってもらえないよっ!
「仕方ないな、ほら」
「え、いいのっ!?」
ミノがこちらに向けたカレーパンにかぶりつく。
「わっ!おっいしー!!」
超とろける!ナニコレー!キュウウウウン♡
「シウォンの喜んでる顔、可愛いよな」
横長の口で、ミノが微笑む。
「なっ!なんだよっ!変なこと言うなヨっ!」
こいつこういうところがあるからっ、男が勘違いしちゃうのかもっ!
俺の好きなのはユノ先生だけなんだからネっ!
「え、殺しのバンビ?」
「そう、前の学校で20人相手に喧嘩して勝ったらしいぜ」
なっ、なにそれっ!野蛮なやつっ!
しかも恐いんだか可愛いんだか分かんないあだ名っ!センスないよっ!
大体20人相手ってどんだけ誰かを怒らせたのっ!
「ん?あれなんだ?」
ミノが立ち上がって校庭を見下ろした。
正門から、明らかに他校の生徒が十人ほど入って来る。
それに立ちはだかるようにして、校舎から歩いて来る生徒が一人……
「あっ!あいつっ!」
「行こうぜシウォン!」
顔を見合わせて頷くと、校庭へ向かった!
「よおよお。俺達から逃げて転校するとはよお」
リーダーみたいなモヒカンのやつが、歩いて行くあいつに話しかけていた!
「親の都合だよ。お前達なんか相手じゃねえよ」
そう吐き捨てて、だるそうに首を回す。ふーんあいつ結構首長いんだ!
って肩、なで肩じゃないっ!?やだ、俺より女の子みたいっ!
「そんなこと言って泣きべそかくなよっ!シム・チャンミン!」
「いいから、かかってこいよっ!」
あっ!ダメっ!!
そう思った時には遅くて。
勝負は一瞬だった。
「覚えとけよっ!」
そう言ってリーダーと十人くらいが、
タクシーを呼んで帰って行く。
足……やられたんだ……
口が切れて血が出ているあいつが、踵を返して、こっちに向かって来た。
俺の横を通り過ぎる。
その時っ☆☆
「まっ、待てよっ!」
「お、おいシウォン?」
ミノが慌てて声をかけたのも構わずに、あいつの前に走った。
「これ、今朝のおわびっ!!」
なぜか俺が常備している絆創膏を、目を丸くしているあいつに押し付ける。
「じゃあねっ!バイバイっ!」
ミノの腕を掴んで走る。
「おいシウォン、さっきの何だよ?」
「何でもないっ!」
「お、お前ら……何で授業30分も遅刻してんだ……」
ユノ先生が、教室に入った俺達を呆然と見た。
ああんっ!そんなに時間立ってたのっ!あいつのせいでっ!
こんな遅刻っ子ユノ先生に嫌われちゃうっ!
「邪魔だって言ってんだろ。バター人間」
かけられた声と同時にミノと後ろを振り返る。
「おっ、俺はシウォンって……あっ!」
口の端に、絆創膏を貼り付けたシム・チャンミンが俺と目を合わせてから、視線を泳がせた。
「どけろ」
俺を手でよけて、席に着く。
なっ、なんだよ、乱暴なやつっ!
しかも顔赤くしてなんなのっ!
変なのっ!
きーんこーんかーんこーんきーんこーんかーんこーん
「シウォン、帰ろうぜ」
「うん……ああっ!?」
「どうした?」
やだあっ忘れてたっ!今朝のパン、慌てて鞄の中に入れてたっ!
「なっ、何でもないよっ!」
「大丈夫かよ」
バターでべったべたっ!どうしたらいいのっ!?
あっ、しかもユノ先生がこっち見た!ダメっ気づかないでっ!
その時っ☆☆
「かせ」
前の席から手が伸びる。目を丸くした俺の手から鞄が取られた。
「うっわ、ひでえな。だから言っただろ、バター人間。っていうか普通、直はねえだろ」
シム・チャンミンが俺の鞄を覗き込んだ。
「ほら、これで拭けよ、って……あ?」
「お、おいシウォン?」
ミノが後ろの席から俺の顔を覗き込んだ。
「ばかっ!!」
俺は零れ落ちる涙を止めることができないまま、立ち上がった。
ユノ先生がびっくりしてこっち見てるよっ!!
「もうっ、知らないっ!!バイバイっ!!」
絆創膏を端につけた口をぽかんと開けているシム・チャンミンと、目を見開いているミノを置いて、俺は駆けだした。
ばかばかっ!!アイツっ!!ユノ先生にきっと気付かれちゃった!!!
俺は泣きながら家まで走った。
☆つづく☆