夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「夢の続き24」ユノ×チャンミン

こんなことをしている間にも客は来る。


「今、このコンビニ内で一番商品価値が低いのは俺らしい」


と続けてキュヒョンが言った。


「いや、いいキュヒョン。どっちにしろ雇われてない人間を店に立たせるなんてやっぱりできないよ」


「……大丈夫……ユノが……働く」


もうユノが自分のことをユノとしか言わなくなってしまった。


「……分かった。店長に電話する」


奥に置いた自分のリュックから、携帯電話を取り出す。
レジに戻りながら、店長の番号にかけた。


「だめだ。運転中だ」


聞こえるのは発信音だけだ。


キュヒョンが小さく溜息を吐く。


「奥さんの方は?」


「番号知らない」


「自宅は?」


「知らないし、もう出てるだろ」


「いや、分からないよ。どっか書いてないか?店長さんの名刺とかないのかよ」


ないよ、と言いながらレジ内を見回す。


そんなもの見当たらない。


「待て。ここになんか番号が書いてある」


キュヒョンが後ろのコルクボードに貼り付けられていたメモを見つけた。


キュヒョンが伺うように俺を見る。


確かにその番号はどこかで見たことがある。


キュヒョンに頷いて、俺は躊躇いながらも、その番号にかけた。


唾を飲み込む。


その瞬間、ユノの後ろに置かれてあった、店の電話が鳴った!


うなだれたままのユノがそれを取った。


「……もしもし?」


サラウンドでユノの声が聞こえた。



「……もしもし……?」



ユノはまだしゃべっていたけれど、



俺はゆっくり自分の携帯電話を切った。





只今17時42分(ユノの退役まで494日)

「夢の続き23」ユノ×チャンミン


店長を追い出してしまった俺と、ふらふらなユノ、そして色白なキュヒョン、この三人でどうにかしなければ……!


レジ内の椅子に座ったユノは今にも崩れ落ちそうだ。


「……病院か?」


もう一つの椅子に座ったキュヒョンが隣のユノを見てからレジに立つ俺を見る。


「この辺で時間外やってるのは公立だから、身分証もないこの人は多分だめだ」


俺の返事にのぼせたような顔を上げたユノが喋った。


「大丈夫。ユノここでチャンミンといる」


「熱が上がってるみたいだぞ」


キュヒョンが俺を見る。


急いで、売り物の「冷えピタ」をユノの額に貼り付ける。


「きもちい」


「ユノさん、俺の自転車で帰れますか?」


ユノの顔を覗き込んだ。


「自転車乗ったことない」


「お前もうこの人自転車乗せて今日は帰れよ」


吐き捨てるようにキュヒョンが言う。


「店どうすんだよ」


「店長さんに戻って来てもらおう」


「結婚記念日だぞ」


「結婚記念日だって、特別ルールは設けていいはずだろ」


「だめ……記念日は……大事だから。お祝いは……ちゃんと」


ユノがうわごとのように呟く。それを見ながら、俺も呟く。


「とりあえず、横にさせないと」


「そんな場所俺が見る限りなさそうだけど」


キュヒョンの言う通り、奥の二畳ほどの個室も商品で埋まっている。このレジ内だって通常は二人の人間が立って動くのがやっとで、上背のある俺達のパーソナルスペースの狭さは半端ない。


「大丈夫……チャンミンと……ここにいる」


そんなこと言ったってあと五時間はある。


考えろ、考えるんだ、シムチャンミン……!


キュヒョンも顎に手を置いた。


横になる場所、横になる場所……。


「あ」


顔を上げる。


「あるのか?チャンミン」


キュヒョンに振り向く。


「……パンコーナーなら、パンの振りして、パンをどければ……!」


「やめろよ。買われたら可哀想だろ」


うんざりした顔でキュヒョンが言う。


「でもその棚くらいしか横になる場所なんて!」


「だからお前が連れて帰れって!」


「だからその間店は誰が働くんだよ!」


と自分で言った後、「あ」とまた俺は声を出した。


ユノも顔を上げて、ユノと二人でキュヒョンを眺めた。


「そこで残念なお知らせがあります」


と、俺達を交互に見たあと、言いながらキュヒョンが立ち上がった。



「俺は生まれてこのかた……レジを打ったことはない……!」









只今17時31分(ユノの退役まで495日)

「夢の続き22」ユノ×チャンミン


「お、お、お、お、お」


な、何がどうなって……。


「しっかりしろチャンミン」


言いながらキュヒョンが駆け寄って、自分もレジから出る。


「すいません、大丈夫ですか?」


キュヒョンがユノを起こして、そのまま床に座らせた。


「う、うん」


良かった。意識はある。


「ユノさん。どうしたんですか?」


俺もキュヒョンとかがんで、その顔を覗き込んだ。


さっきまで、にこにことこっちを見てたのに。


「チャンミン……」


と、俺を見る目が潤んでいる。


黒い前髪が額に張り付いている。汗かいてる。


「なんか、変」


「……そうですね。もうどこもかしこも変です」


「おい、チャンミン」


「熱くて……寒い」


と言って、ユノが苦しそうに息を吐いた。


そんな……


「じゃあ暖房の温度どうすればいいんだろ」


「チャンミン、この人風邪引いてるんじゃないの?」


そう言ったキュヒョンと顔を見合わせる。


ユノの額に手を当てる。


「確かに、熱いかも。ユノさん、風邪引いてる?」


そう聞いた俺の手を上目遣いで見ていたユノが、


「……ああ、これが風邪」


と、呟いて辛そうに息をしながら笑った。


「薬でも飲ませて早く休ませないと」


キュヒョンが俺を見る。


「うん。でも……」


ユノを家に帰らせるって言っても、うちまで歩いて結構あるし、歩けるのかもわからない。


いや、それよりもこの状況。店はまだ営業中だ。


まず、ユノは鍛えている感じもないのに、なぜか無駄にガタイがいい。という俺もユノより背は高いし、人のこと言えないくらい体格はいい。
あんまり外に出ない色白なキュヒョンだって180㎝くらいだし、筋肉はついてる。


だめだ。



こうしてると、店のフードコーナーがリングみたいだ。



ただでさえ店内はせまいのに。




「とりあえず、移動しないと」





只今17時15分(ユノの退役まで496日)