「チャンミン君、何してたの?」
「いえ、本当に何してたんだか自分でも」
エプロンを結びながら、答える。
夕方までは近くに高校もあってか比較的忙しいこのお店だけれど、夜になると人通りも少なくなるから、店長とユノに代わって、俺一人で店に入ることになっていた。
「本当にいいの?チャンミン君」
「勿論ですよ。早く行ってください」
まだ時間じゃないけれど、店長には今日は特別な日だったようで早めに店を出てもらった。
奥さんとレストランで待ち合わせているらしい。
まだ勤務時間のユノがフードを入れ替えている間、レジに立つ。
「想像と違った」
小腹が空いたから、肉まんを買って学校に戻るというキュヒョンが、フードコーナーにいるユノを見ながら俺に話しかける。
俺もユノを見る。
「あ、そう」
「もっと、よだれとか垂れ流して目の焦点定まってない系かと思ってたけど、意外に普通なんだな」
「ああ」
俺も意外だった。
ユノは普通に働いていた。
時々俺を見てにこにこするけど、真面目にフードを入れ替えている。店長も何も言わなかったから、昼間も問題なかったんだろう。
「むしろ、普通と言うよりも」
と、キュヒョンが言いかけて止める。ユノを凝視している。
そうだな、普通というのは言い過ぎだな。
今日も髭をそって、出勤前にシャワーも浴びたみたいで、こざっぱりしているけれど、良く見ればキュヒョンが言うようにちょっと目の焦点が定まってないようには見えるし、心なしか足元もふらついているように見える。
でもまあ概ね問題は、と思ったところで、
ユノが倒れた。
只今17時02分(ユノの退役まで497日)