夢の続き

東方神起、SUPERJUNIOR、EXO、SHINeeなどのBL。
カテゴリーで読むと楽です。只今不思議期。

「夢の続き21」ユノ×チャンミン


「チャンミン君、何してたの?」


「いえ、本当に何してたんだか自分でも」


エプロンを結びながら、答える。
夕方までは近くに高校もあってか比較的忙しいこのお店だけれど、夜になると人通りも少なくなるから、店長とユノに代わって、俺一人で店に入ることになっていた。


「本当にいいの?チャンミン君」


「勿論ですよ。早く行ってください」


まだ時間じゃないけれど、店長には今日は特別な日だったようで早めに店を出てもらった。
奥さんとレストランで待ち合わせているらしい。
まだ勤務時間のユノがフードを入れ替えている間、レジに立つ。



「想像と違った」



小腹が空いたから、肉まんを買って学校に戻るというキュヒョンが、フードコーナーにいるユノを見ながら俺に話しかける。


俺もユノを見る。


「あ、そう」


「もっと、よだれとか垂れ流して目の焦点定まってない系かと思ってたけど、意外に普通なんだな」


「ああ」


俺も意外だった。
ユノは普通に働いていた。
時々俺を見てにこにこするけど、真面目にフードを入れ替えている。店長も何も言わなかったから、昼間も問題なかったんだろう。


「むしろ、普通と言うよりも」


と、キュヒョンが言いかけて止める。ユノを凝視している。


そうだな、普通というのは言い過ぎだな。
今日も髭をそって、出勤前にシャワーも浴びたみたいで、こざっぱりしているけれど、良く見ればキュヒョンが言うようにちょっと目の焦点が定まってないようには見えるし、心なしか足元もふらついているように見える。



でもまあ概ね問題は、と思ったところで、




ユノが倒れた。








只今17時02分(ユノの退役まで497日)

「PLAY11」ユノ×チャンミン


古い液晶画面に書かれた、文字が見える。


『ヒョン、早く帰って来て下さい。寂しいです』


これはメールみたいだ。


「ユノ、次、カラオケ行くか?」


俺は携帯電話を閉じて、話しかけてきた幼馴染に言う。


「いや、今日は帰るよ」


今日は宿舎に一人なんだっけ?


俺とテレビゲームに夢中になる可愛い弟の笑顔を思い浮かべた。


早く帰らないと。


早く帰って、一緒にゲームでもして遊ぶか、



「チャンミン」



と自分で呟いた声で目が覚めた。


驚いた顔のチャンミンがそこに立っていた。


「何の夢見てたんですか?」


顔も声もすっかり大人で、一瞬当惑する。そのまま俺は待機室のソファーの上で起き上がった。


「あ、いや」


まだ寝ぼけているようで、うまく返事ができなかった。


「そろそろ行かないと」


腕時計を見ているチャンミンに言われて、「ああ、うん」と後ろ髪に手を置いた。


リハーサル中の休憩時間だった。


廊下を移動しながら、話しかける。


「昔の夢見たよ」


と言って少し笑う。


チャンミンも口元を弛めた。


「俺がでてきたんですか?」


「いや、出てこなかった」


「なんだそれ」


「でもチャンミン可愛かったな」


「出てこなかったのに?」


と言って、馬鹿にしたように笑われる。


「でも可愛かったんだって!」


「今が可愛くないみたいな言い方やめて下さいよ」


と言って大袈裟に口を尖らせる。


俺は笑いながら、


『俺達は変わらない』


と言った俺に、間を空けて返事をしたチャンミンがその間何を考えていたんだろうと、思い出していた。



外観は変わらなくても、複雑さは増していることをチャンミンは伝えたがっている。



でもそのヒントだけでは難しい。



難しいと分かって出しているんだから、俺の可愛い弟は本当にタチが悪いよ。




つづく

「夢の続き20」ユノ×チャンミン


「キュヒョン、今日現像室だろ?良いの?」


「見たら電車で戻るよ。俺の前に二人いたし大丈夫だろ。お前今日はこのまま働くんだろ?」


「店が存続してれば」


授業が終わって、キュヒョンと二人でバイト先のコンビニに向かった。自分の出勤時間までは、店長とユノが働いてるはずだけど、店はホットスナックも扱うし、簡単に調理だってするから、何が起きているか分からない。


とりあえず、店長だけが大丈夫か不安だ。


「キュヒョン、なんか俺怖くなってきたから、先に見てよ」


「そんなんで良く働かせたな」


ぶつくさ言いながら、俺のこぐ自転車の荷台を降りてキュヒョンが角を曲がった。


「店はある」


「あ、そう」


ほんの少し安堵して、キュヒョンと店に近づいた。


「お前のバイト先来るの久しぶりだな」


自分のバイト先なのに、まるで忍者のように二人で、硝子の壁から、その壁側に置かれている雑誌コーナーの陳列棚で自分達を隠すように中を覗いた。


カップルらしき二人組が、店内を見ている。店長がレジに立っている。


良かった、店長無事そうだ。


で、あれは?


あれがいない。


それよりもカップルの女子の方がこっちをちらちらと見ている。


俺達超不審者だもんな。


でもその女子は、もう一度俺達に気づいたように、こっちを凝視して眉間に皺を寄せた。


じゃあ、今までちらちら見てたのは何だったんだよ?


とキュヒョンも思ったようで、二人で顔を見合わせた。


また二人で前を向くと、今までしゃがんで雑誌の整理をしていたのか、立ち上がったユノが目の前にいた。



「うわああ!」



「チャンミン、落ち着け」



店内から笑顔のユノが「チャンミン!」と俺の名前を呼んだ。










只今16時47分(ユノの退役まで498日)


ーーーーーーーー
二人乗りはいけません。