目を見開いたユノが本気で腕を振り払った。

俺は振り払われた体勢のまま、ユノを見つめる。

「ヒョン、言って。それって何？」

ユノが固まっている。

「じゃあ俺が言いましょうか？」

黒い瞳が更に丸くなって見る。
迷ったように俺の口元を見つめて、俺が言う前に声を出された。

「……いや、チャンミンは違う」

「じゃあ、違わないヒョンはまだ俺のことが好きなの？」

姿勢を直した俺の口元から視線を移さず、答えられなくなっている。

「ねえ。喋って」

「……チャンミンは、違うだろ？」

それはまるでお願いされるようだったかもしれない。

「分かりません。でも今俺は」

すぐに俺の目もそこに移ろうとする。下唇の方が厚い。そして自分の感情を確かめる。

「俺は……その答えを喜んだ」

ユノが呆然と、俺から目をそらして、床に泳がせて、言う。

「そんなわけ、ない」

見つけてしまった感情が一気に顔を出す。

視線を外してしまったユノを見つめて、今度は俺がお願いするようだったかもしれない。

「そんなわけ、あるよ？だってヒョン言ったでしょ」

それを床に泳がせながら聞いている。

「一年前、俺の普段と違う一面を見たから、好きになったって」

ゆっくりと目を瞬かせて、ユノは俺を見ないまま俺の解答を待っている。

「俺はここ一か月ほど……」

その目がまるで、失敗を悔やむように、わずかに細められた。

「ヒョンに。それをされ続けてたんですよ？」

ユノは口をつぐんで床の一点を見つめる。

俺もそのユノを見つめて、口を閉ざした。

自分達は動けないまま、俺はユノの解答を、ユノはきっとこの状況の、

解決を、望んでいる。

つづく