「眠れない夜のエンジェル14」ユノ×チャンミン
~~このお話は、真夜中に起きているあなたに贈る、真夜中のお話。
こんばんは、みなさん。
僕の名前はシム・チャンミン。
僕は、『眠れない人の悩みを聞くエンジェル』です。
今日も良い夜になりましたね。
僕は今から、東京都は港区で、子孫であるチャンミンの代わりに仕事をすることになったのですが、複数の人間に囲まれているのです!
皆さんが呆然と立ちすくむ中、ユノ氏が、
「こっちの準備はオッケーです」
と言いました。
「あ……はい」
なぜか納得していない表情で皆さん返事をしています。
僕は、本当にオッケーなの?と言う風にユノ氏に顔を向けました。
ユノ氏は、僕にしっかりと頷きました。それを見ると安心できました。やはり子孫は見る目があるのです。
別室に移動しました。
今から僕たちにインタビューをするスーツの女性がソファーから立ち上がりました。
でもこちらを見て、大きく口を開いて、閉じなくなってしまいました。
僕はまた、大丈夫なの?と、いう風にユノ氏に顔を向けました。
ユノ氏は、僕にしっかりと頷きました。でも今回は何となく不安になってきたのです。
「チャンミンさん……ですよね?具合は……大丈夫ですか?」
女性が目を見開いたまま、恐る恐る僕に聞いてきます。とても流暢な韓国語です。
僕は「ええ。元気になりました」と答えようとしたら、
「まだ具合が悪いので、ゆったりできる服に着替えさせたんです」
と、ユノ氏が代わりに答えました。
「ゆったりできる服って……」
羽いる?羽いる?と女性は日本語でぶつぶつと呟いています。
すると、ユノ氏が、
「羽は、いります」
と彼女に日本語でしっかりと答えたのです。
僕の子孫はとても頼もしい相手を好きになったようです。やはり安心しました。何となく嬉しくなって、僕は微笑みました。そして、
「では、始めて下さい」
と、皆さんに言いました。
「そ、そうですね。おかけになって下さい」
気を取り直すように、韓国語で彼女に言われて、僕たちは殺風景な部屋に若干不釣り合いな真っ赤なソファーに腰かけました。
「さっきまでここで撮影してたんだよ。照明とか小道具は片づけられたみたい」
ユノ氏が耳打ちしてくれました。なるほど。チャンミンは頑張っていたようです。
ちゃんとテーブルも置いてあって、水のペットボトルが置いてありました。少し喉が渇いているのですが、飲んでいいのかなあ。
「飲んでいいから」
ユノ氏がまた耳打ちしてくれました。彼とは血の繋がりはないはずですが、思ったことがすぐ伝わるような気がするのは、気のせいでしょうか。
「それでは、内容を録音させて頂いてよろしいですか?」
正面に座る女性が微笑みます。初めてのインタビューに僕は再びドキドキして来ました。
「はい」
ユノ氏が返事をしました。
「お伝えしている通りに行きますから」
では、始めます。と女性が言ったのです。
つづく